君の顔が好きだ。

ぼくの話を聞いてくれ

NEOカワイイ、そんな僕たち私たちの時代。

 

先日Mステ出演が発表されたバンド、ご存知でしょうか『CHAI』。
「何が良いんすか?」「コンセプト寒くね?」「てかなんでこいつら?」と思ってる人、いるんじゃないですか?
まぁ気持ちはわかる。誰だって自分が好きなものに囲まれて生きていたい。でもCHAIってバンドはこれからの僕たち、私たちに絶対必要なバンドだと思うの。
だからこの記事を読んで、なおかつ聴いて?

 

  • CHAIってどんなバンドなの?

双子のマナ・カナ、リズム隊のユウキとユナの4人組で結成された『NEO−ニュー・エキサイト・オンナバンド−』 なバンド、それが『CHAI』。2016年、突如として『NEOカワイイ』で世界を包んだ女の子たち。特筆するようなプロモーションも無しにspotify UKチャート TOP50にランクインすると、その勢いのままに2017年にはSxSW出演と、全米8都市ツアーを敢行。「なんだよこのヤバいバンド・・・」と一部の?音楽好きに火が付くとあとは一気に燃え上がって、現在ワンマンライブは完売、イベントにも引っ張りだこの大忙しバンドさん。

 

いや、これだけですごい経歴の持ち主なんですけどね。こういうとこじゃないんですよCHAIの魅力って。また今回も気持ち悪く熱弁していきたい。

  

  • ガールズバンドって分類に中指を立ててほしい。

こんな言い方をこのバンドに対してはしたくないんだけど、世間一般から言うと彼女たちはガールズバンドという分類になる。女性のみで組まれたバンド、まぁ分類分けはわかりやすさという意味では大切だと思うけど、日本の音楽シーンにおける『ガールズバンド』という言葉には酷い偏見が含まれているように思える。
もちろんこれは一部分を取り上げた解釈に過ぎないけども、日本のガールズバンドの評価対象で一番取り上げられるのはビジュアル面だと感じていて。
「カワイイ女の子たちが歌って演奏します!!」を全面に押し出したバンドが多すぎる。それは商業的な理由だったり、バンドと大人たちとでの難しいやり取りの中で生み出された形なのかもしれないけど。アイドルみたいなやり方は別にバンドがやらなくても良いんじゃないかと思ってしまう。

 

そんなカワイイ至上主義な世の中にあって、彼女たちが掲げているのは「NEOカワイイ」。新しいカワイイだから、メンバーは「今のカワイイ」とは少し違った見た目をしている。しかしCHAIというバンドは毎回全力でビジュアル面を押し出してくる。失礼な言い方を承知で表現すると「ブサイクだけど演奏はこんなに上手いよ」じゃなくて「私たちもみんなもとってもカワイイんだよ」と、いつも100%自分たちのカワイイを信じ切っている。そんな姿勢がみんなを魅了したんじゃないか。

 

すごーい飛躍した思いをCHAIに託すと、彼女たちは一気に「女性性への宣戦布告」と「多様性の完全肯定」をしてくれたと思っていて。
世の中に蔓延る古臭い「女性像」は今も生活に深く絡みついて、多様性が叫ばれる今の時代ではそれに悩まされる人は多い。「女性らしさ」って誰が決めたんですか?
『演奏は下手だけど、可愛くて、愛嬌を振りまいているからカワイイ。だからあのガールズバンドは良い』
ひとりの音楽好きとしては、そんな基準でバンドが評価されることがあって欲しくはないけど、そんな場面を目にすることは多い。CHAIはそんな環境にとても美しく、なおかつファニーに反旗を翻した。

 


CHAI『N.E.O.』Official Music Video

 

この『N.E.O.』という楽曲、一回聴いた時には「演奏はかっこいいし、歌詞は面白いし良いなぁ」ってな具合でしたが、MVを見たりライブで聴くとまた違った印象を感じて。とっても心強い、愛に溢れたみんなへのメッセージだなと。
動画が再生されると小汚い字(褒めてる)で「コンプレックスはアートなり。」の文字。
コンプレックスって隠したい部分だったり、自分では恥ずかしいと思うような部分のことじゃないですか。そこを「キミのそんなとこめっちゃカワイイね〜キュートだね〜」と語りかけてくるみたい。

 

ありのままの自分を愛して、的なフレーズは自己啓発ソングの定番で耳にタコが出来るほど聴き飽きた。そもそもありのままの自分て何よ、と抽象的な表現に疑問も湧く(曖昧だからこそその歌詞に救われる時もある)。でもこの「N.E.O.」は具体的すぎる。その具体性がわかりやすく、聴き手をいつの間にか捕らわれていたコンプレックスから解放してくれた。僕たち、私たちはNEOカワイイになることを許され、認められ、選べるようになった。

 

CHAIの一貫して揺るがないそのコンセプトは、性別に捕らわれず本当に全ての人に向けた愛を届けてくれる。自分を愛することで他人を愛せる。自分を許すことって実は他人を許すことよりも難しい時があったりして、毎日私たちを悩ませる。でも悩んで良いんだよね。その先に自分を愛せるようになったらさ!!そうでしょ!?!?!?!

 

  • そのファンキーグルーヴに殺された

これまではバンドの在り方的な部分で話を進めたけれども、決してコンセプト勝負のバンドというわけじゃない。演奏技術もヤバい。上手すぎるの。
グルーヴって言葉の意味はいっぱい読み取り方があると思うんだけど、CHAIのグルーヴ感は、踊りだしたくなる感じ。自然と体が揺れだしちゃうってやつ?
一人ひとりの演奏技術が高くて、遊びと決め所がしっかりしてないとこうはならない。
ファンク、POPS、ブラックもちろんロックも。色んなジャンルの音が巧みに鳴っている。かなり技巧派じゃないですか?だからこそ、アイコンとして人気が出るのではなくて、ライブ会場で生の演奏を聴こうとする人が多いのかなと思うんです。
個人的にはギターのカナちゃん、リズム隊のユウキちゃんとユナちゃんのコーラスがすごい好きで。綺麗にハモってくるんですよ。『ほれちゃった』なんて最高。

 


CHAI『ほれちゃった』Official Music Video

 

こんな感じで確かな技術が下敷きにあるからこそ、バンドとしての魅力がより一層輝いているのかなと。

  

・そろそろ私たちもアップデートしよ?

もう良い加減、よくわからない自意識に悩まされるの疲れてきませんか?
楽しいことだけじゃないけど、悲しいことも、悔しいことも、切ないことも生活の中にはたくさんあるのだけど。それでもこのバンドは私たちの毎日を肯定してくれるなって思う。綺麗事だけをいうものは好きじゃないけど、底抜けに明るいものにはやっぱりパワーをもらえる。
長々と文章を書いたおかげで、なんでこんなにあの女の子たちの事が好きなのかわかった。見た目も中身も、そのままの自分を好きになることを強要するんじゃなくて「好きになれたらいいよね、好きになっていいんだよ」って同じ目線にしゃがみこんで手をとってくれるからだ。また会いたくなっちゃうぞ。

『NEOカワイイ』を合言葉に新しい時代のラヴ&ピース的な流れが来ちゃってほしい。そんなことを割と真剣に思ったりするのです。