君の顔が好きだ。

ぼくの話を聞いてくれ

口から音が出る病気な僕たち私たちは・・・流星ビバップして夢の外へ連れてってほしい

 

 

不思議なもので、こういったものを書く趣味は続けて書き続けると書きたいことがスラスラと出てくるのに一度間が空くとぱったりと触れる機会がなくなってしまって・・・。2018年内に書きたかった趣味全般の話なんかもあったのですが結果久しぶりの更新。

 

今回は好きな音楽がContineuesされた話です。
去年のこと。星野源、ニューアルバムを出しました。
もう多くの人が見知ったこととは思いつつ、今年もやっぱり自己満足していきたい。まずは簡単に紹介から。

 

星野源 5th Album『POP VIRUS』

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  1. 〈収録曲〉
  2. 01.Pop Virus
  3. 02.恋
  4. 03.Get a Feel
  5. 04.肌
  6. 05.Pair Dancer
  7. 06.Present
  8. 07.Dead Leaf
  9. 08.KIDS
  10. 09.Contineues
  11. 10.サピエンス
  12. 11.アイデア
  13. 12.Family Song
  14. 13.Nothing
  15. 14.Hello Song

初回生産限定盤特典
Blu-ray/DVD

星野源 LIVE at ONKKIO HOUS Studio
・創作密着ドキュメンタリー 「ニセ明と、仲間たち」

ブックレット
・『POP VIRUS』ロングインタビュー、エッセイ、全曲解説、撮り下ろし写真等収録

 

うん、内容が濃い・・・。

作品のフィジカル的な話をしていくと、まずは単純に前作『YELLOW DANCER』から約3年ぶりのフルアルバム。パッと見て目を引くのはやはり自身が主演を務め大ヒットした「逃げるは恥だが役に立つ」の主題歌『恋』、ドラマの主題歌、テーマ曲として提供された『Family Song』『アイデア』、CM曲として採用された『肌』『Hello Song』あたりでしょうか。もうここだけで威力が凄い。お腹いっぱいです。その他にもシングルカップリング曲も再録されつつ、もちろん書き下ろしの新曲も。そんな合計14曲のフルアルバム。
もちろんそれだけじゃ終わらないわけで。今回も特典・・・付きます!!
今作の録音にも使用されたというONKKIO HOUSでの撮り下ろしライブ映像、制作秘話や楽曲解説を含んだブックレットといった具合。

 

改めて、内容が濃い・・・。(2回目)
以下は収録曲に触れつつのディスクレビュー的なことをしていこうかなと。
またしてもうろ覚えなインタビューの内容や思い込み、個人の意見感想をぶちまけていくスタイルです。よろしくお願いします。ここから「星野源」の呼称がコロコロ変わると思います。

 

 01.Pop Virus

youtu.be

 

アルバムタイトル曲。もう早速記憶が定かではないのですが、Twitterか何かでアルバムタイトルが発表になった時、僕はライター川勝正幸さんの名前を思い出した。結論から言ったらどうやら本人もラジオで言及したそうだけど、ポップウイルスという表現を使った人が川勝正幸さん。源くんの著書にも紹介があったし、SAKE ROCK、ソロ名義の作品でのライナーノーツや『地平線の相談』担当などで知っている人もいたかもしれない。川勝さんは2012年に不慮の事故で亡くなられている。かかわりの深かった2人、今ポップウイルスという言葉を星野源が使うことに今作への思い入れの強さを勝手に想像してグッとくる。ここからはポップ中毒者を自称していた川勝さん、そして川勝さんが亡くなった際にその存在を「(ポップ)ウイルスになっちゃったんじゃないかと」と表現し自身もポップウイルスに感染しながら、今、多くの感染者を生み出している星野源、2人を思いながら、この曲を通してアルバム全体への思いを語りたい。

このアルバムを通して改めて『ポップス』と『カルチャー』という大きな枠組みについて考えるようになった。本人も目にしていただろうけども、星野源に「サブカル界の王子様」という枕詞がついて回った時期があった(気がする)。「サブカル」ってなんなのか。確かに一昔前には「みんなが知ってる!みんながやってる!みんな大好き!」な共通項になる「(メイン)カルチャー」が生まれていた。それは良くも悪くも1人の人間が取得できる情報が限られていたからこそ。テレビや書籍が圧倒的な情報源だった時代が少し前には確かにあった。この論調も見飽きてはいるけれども、現代はインターネットの普及でありとあらゆることに一瞬でアクセスできる時代になった。時代の雰囲気も「自分だけが知ってるってクールだよね?」にシフトしてきたように感じる。ミニマムな個人の世界の充実とか言うと、かっこつけ過ぎか。
そんな中で(言葉が正しいかわからないが)少数派の好むコンテンツの表現として「カウンターカルチャー」という言葉が生まれた。主流に対するカウンター、この言葉には好きなものへの自信と信頼や誇りが感じられた。そんな中で同義語的にいつしか「サブカルチャー」という言葉を目にするようになった。カウンターカルチャーの仲間であったはずのこの言葉は気がつくと一人歩きを始める。「サブカルチャー」はいつしか「サブカル」になり、そこにはもう誇りもクソもなくある種の侮蔑や嘲笑が込められるようになっていた。「サブカル」はキャッチーであるけれど少し悲しい言葉のように感じる。
僕らはいつの間にか自信を持って自分の好きな物事を伝える経験に乏しくなってしまった。自分の身体を拡張し、世界中の誰とでも何にでも一瞬で繋がれるようになったことで、僕たちの好きという思いは一瞬で誰かの悪意や敵意に晒される。少し息苦しい心地の中で生活をしている気がする。
しかしだからこそ、今この瞬間には「もう一度自分以外の多くの存在と一体化したい」という欲求を持った人が多くいるように思う。いや、そもそもその欲求は人の持つ自然な欲だ。今を生きる僕たちは、みんなで楽しむ感覚を思い出したい。
話が飛躍してしまっているけれど、源くんは閉じた部屋での出来事を歌うことを経て、広く人と繋がる歌をうたうようになったと思っていて。『星野源』は今とてつもなく大きな現象になっている。カイザーの言い方を恐れ多くも借りたら「ただのスター」と言って過言じゃない。そんな人物が多くのヒット曲を生み出し、世間に広くその存在を認知された今、満を持して出すのがこの『POP VIRUS』であり『Pop Virus』なんだと。
ポップカルチャーの持つ感染力をもしかしたらみんな忘れていたのかもしれない。一つのものが性別も年齢も環境も何もかも飛び越えて広がる景色をもう一度彼自身が見たかったんじゃないかな、とも思う。
真面目に話しちゃったんですけど、MVには本人の他に長岡亮介氏、ハマ・オカモト、STUTSが登場して激しくビジュアルが良いのでお見逃しなく。中でも長岡さん、ハマくんのストリート感の似合うこと似合うこと。本人のカラーグラス姿に最初は笑いそうになったのは秘密です。

 

02.恋

説明不要の楽曲。しかし2曲目に収録されているからこそ、このアルバムの目指す位置が感じられる。先述の「みんなで楽しむ」「みんなが知ってる」を成し遂げたこの曲は今思うと「POP VIRUS」を楽しむための土壌になっている気がする。子どもも大人も関係なく共通項となってしまった『恋』は一番ポップでありながら、だからこそ改めてアルバムの中での存在感が際立っている。

 

09.Contineues

リオ五輪パラリンピックタイアップ曲。五輪期間中から反響が大きかった(自分調べ)。『恋』発売時にカップリングとしても収録され、ツアータイトルとしても使用されている。この一曲もかなり星野源の音楽を語る上で大事な一曲だと思っていて。発表時に書籍インタビューやラジオでの発言もあったが、彼の音楽的ルーツでもある細野晴臣氏から共演後「未来をよろしく」と声をかけられた、というエピソードから曲の構想が生まれたという話がされていた。音楽は続いていく。新しいジャンルや発想はもう生まれない、と言われて久しいけれどそんなことはお構いなしに僕らは音楽を聴き続ける。託される側から託す側に、毎日の生活は実はそんな営みの繰り返しであったりする。この曲もアルバムも星野源も、聴いている僕たちもいつかは死ぬ。終わりがやってくるし、古くなる。でもそれで良いと思える。全部続いていくことなんだと思う。僕たちは日々を続けなくちゃいけない。毎日の中で無力感に襲われる時もあるけれど、今はどうしようもないその想いが次の何かを照らすと言い切ってくれるこの曲の心強さに救われる。勝手に星野源の決意表明としてのポジションをこの曲に感じたりしているのです。

 

11.アイデア

NHK連続テレビドラマ小説「半分、青い。」 の主題歌。配信限定リリースという発売形式でも話題になった。発売形式も勿論楽曲の構成自体がアイデアに満ちている。「これまでの自分を詰め込んだ自己紹介的な曲でありながら今後のやりたいことも詰め込んだ名刺のような曲にしたかった」的なコメントを本人がしていたように思う。本当にその通りで、この曲でまた星野源の魅力を思い出させられた。何より発表のタイミングが非常に卑怯だった。今回のアルバムにも収録されているドラマ主題歌『Family Song』、ドラえもん映画とのタイアップ曲『ドラえもん』発売後の個人的な「タイアップバリバリの曲ばっかりですやん・・・」期にいきなりぶち込まれたから。1番はこれまでの自身の楽曲や歌詞へのセルフオマージュ、2番ではMPCによる打ち込み、そこからまさかの弾き語り。できること全部詰め込みましたと言わんばかりの構成に「あぁ、そうじゃんこういう人だから好きになったんじゃん!!!!」ってみんななったよね?生活に根ずくベーシックな音楽でありながら、新しい試みが沢山されている。個人的な話をし続けると、これまでのシングル・アルバムのジャケットで使用されてきたカラーを背景にスタジオを源くんが所狭しと駆け回るMVは最高なのでぜひ。そして何より坊主頭の長岡亮介氏を見て欲しい。 

youtu.be

 

14.Hello Song

ACジャパンCM曲。オリンピック関連の楽曲にこれだけ携わっていると、本当に2020年にも何かオリンピックに一つ噛んでくるんじゃないかと勘繰ってしまうんですがどうでしょうか。メディア発表が既にされていた中では1番フルで聴きたかった。終わりと始まりを越えて、未来に繋がっていく音楽。アルバムの最後でありながら『Hello Song』。そういうところが好きなんだよなぁ〜〜〜!!!!!!!!!!この曲では久しぶりにYouTube公式チャンネルで視聴動画も上がりましたね。定期的にやってほしい企画です。 

youtu.be

 

と、ここまでは楽曲への感想文。
特典のコラム、撮り下ろし写真はぜひ購入時に見て頂いて。特典映像は先述の通りライブ映像と今回ゲストが登場してかなり豪華なニセさんロケ企画が交互に織り交ぜられた構成に。ライブ映像とニセさんが交互に映し出されるとどんなテンションで見ていれば良いのかわからなくなって非常にサイケで最高です。間違いなく今回も初回限定盤がマストバイですね。

 


アルバムが発売されたということで、ツアー『POP VIRUS』も開催されます。

www.hoshinogen.com

既に全公演完売で期待値はマックス通り越してはち切れそうなんですが、初のドーム公演もきっといつも通り楽しい音楽を聴かせてくれるんだろうなと安心感があります。

  

なんだかんだとまた今回も長くなりましたが最後に。このアルバム、ツアーを通して星野源の運ぶ『POP VIRUS』は感染者を増やし続けていくんでしょう。もうこんなフレーズも至る所で見聞きしますが、感染一緒にしてみませんか?
どこの誰かも知らない彼も僕もあなたも、みんな口から音の出る病気にかかって音楽で楽しみましょう。