吉澤嘉代子、という魔法。
先日、吉澤嘉代子さんの『ウルトラスーパーミラクルツアー』を観てきました。
以下、気持ち悪い新規ファンの思い出せる限りのライブレポと「吉澤嘉代子」について語りたくなってしまった一ファンの気持ち悪い熱量のこもった文章をお届けします。
(この後の文章では呼び捨て、愛称呼びにするけど大好きすぎて、のやつです。)
- 『ウルトラミラクルスーパーツアー』というウルトラミラクルスーパーな時間。
吉澤嘉代子のライブ、前回ツアー『お茶会ツアー2017』が初体験だった。
ギター、キーボードの編成(だったと思う) 。その最終日を終え、あまり日が経たないうちに発表された今回のツアー。ホームページは更新されてしまったのでどんな告知文だったかは記憶だよりですが「バンド編成でやります!」的な文章が添えられていた気がする。
バンド編成大好物。吉澤嘉代子の楽曲にはストリングス、ホーンやら様々な楽器の音色が響く。それが生演奏で聴けるってヤバくないですか?ヤバかったんですよ。
しかしバンドメンバーについては情報公開日には発表されず、後日発表という形が取られていた。
ここで気持ち悪いファンならではの思考が炸裂します。
「バンド編成ってことはベースハマくんじゃね?」
「ドラムは大地くん・・・」
いや、ないない。でもそうだったら最高だよなぁ。そんなことを思っているとしばらくして発表されたバンドメンバー。
・バンドメンバー
Pf.横山裕章
Ba.ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)
Gt.尾崎博志
Dr.伊藤大地
Tp.湯本淳希
Sax.加藤雄一郎
ありがとう嘉代子ちゃんんんんんんんんんんんんんんんんん
願いが叶って最高に嬉しかった。ハマくんがサウンドプロデュースした「屋根裏獣」は大好きなアルバムだし、『残ってる』初回盤の特典DVD、バックでドラムを叩く大地くんを見てたので、まさに理想の布陣。しかも管楽器も入るなんて・・・。
要は、もう開催前から最高が約束されたようなツアーだったんです。
当日までずっとワクワクしてました。仕事も定時に上がれるよう一週間前から綿密な計画のもと終わらせて、急いで恵比寿に。前日から決めていたお気に入りのコートを着て。客席は満員で、開演の時刻が近づくにつれてみんながソワソワしていました。
関係無い話ですが、開演時刻を少し過ぎたあたりからSEの切れ間にシーンとなる瞬間が僕はとても好きです。
そんなことを思っていると始まってしまったウルトラスーパーミラクルな時間。セットリストはこんな感じでした。
01. ストッキング
02. ユキカ
03. 綺麗
04. 手品
05. 怪盗メタモルフォーゼ
06. ユートピア
07. 化粧落とし
08. 地獄タクシー
09. 麻婆
10. えらばれし子供たちの密話
11. シーラカンス通り
12. ぶらんこ乗り
13. movie
14. 一角獣
15. 雪
<アンコール>
16. 月曜日戦争
17. 残ってる
「今回のツアーは全曲、私が最高に愛している曲を選びました」というMCの通り、一曲一曲を噛みしめるように歌う嘉代子ちゃんがとても綺麗でした。全曲コメントしていくと途方も無い文量になるので数曲をチョイスして感想をつらつら書こうと思います。しかもポエミーな見出しをつけて・・・
- 魔法を思い出した僕たち私たちは、
まずは 1曲目の『ストッキング』。イントロで泣きそうになったのは秘密です。
嘉代子ちゃんの曲はとにかく言葉が良い。いやメロディも最高なんですけど。
‘自分の力を 信じきれなくなるとき いびつに歪んだ心は たった一つの魔法を忘れかけていたんだ’
‘もうわかっているよ わたしは特別じゃない 少女のころ窓辺に腰掛け唱えた 信じる魔法を思い出せたら’
この一言にどれほどの覚悟だったり思いが詰められてるんだろうなと、考えてしまうんですよね。魔法を思い出した彼女の曲はとっても強い思いを届けてくれるなぁ、といつも思うんです。
- 日常に隠れた、非日常
6曲目『ユートピア』です。この曲はイントロのベースラインがドチャクソかっこいいんです。大好きな曲を大好きなベーシストが演奏しているんです。曲始まりで思わず「あぁ、マジかよ」と呟いてしまいました。
嘉代子ちゃんの曲はガッチリとした物語性があって、その主人公の物語を歌うのが魅力なんですが、この曲は『特別なんかじゃない日常の風景が突如非日常に変わっていってしまう』ような 『非日常は僕らのすぐ近くにある』的なメッセージを勝手に受け取っていて。
‘この世のどこか 異世界のあこがれ’
‘生ぬるい風 綺麗でドキドキしちゃう’
生ぬるい風が吹いた時、僕らの住む街、過ごす場所はどこかにあるユートピアに繋がってしまうんじゃないかとか考えちゃうんですよ。
- 目に見えなくて、でもそこにいる気がして。
14曲目、『一角獣』。空想の生き物と、今は会えなくなってしまった系の彼氏を思う曲。もしかしたらその男性はそもそも空想上の人物で、存在し得ない気さえしてしまう。茶化しすぎですね。この曲も大好きな曲です。
‘どうやって言葉にしたらいいのかわかんないよ 一日中かんがえても’
‘誰かに会いたいのに それが誰だかわかんないよ あなたじゃないのは確かなはずだけど’
‘読みかけの本があるうちは守られている気がしていた’
キュンとした。なんでこうも切なくて、ぐっと心を鷲掴みにするようなことを言うんだろう。ひとりの女の子の強い強い物語。
こんな感じでしょうか。いや、もっと言いたいことはあるんですけどまとまらなくて。
とにかく最高のライブだったんです。そして曲を通して伝わることはもちろん沢山あるんですが、曲間のMCは吉澤嘉代子という一個人としての言葉が聞けて嬉しいのです。
確か本編中最後の『雪』を歌う前だったと思います。そのMCがとても印象的でした。
「私の歌を必要だと思ってくれたみんなは、とっても大切な人です。でもみんながとっても辛い時、会いに行くことはできないんですよね。みんなの住所も知らないから。私はいつも自分を救うのは自分だけで、誰かが何かをしてあげるのができないのが人かなと思っているんですが、歌を通していつもみんなのそばに、むしろみんなそのものになって、一体化できたらなと思っています」
【※そんなニュアンスのことを言っていた、ということです。間違えているかも。】
なんて優しくて、本当のことを言ってくれる人なんだろうと思いました。
一つひとつの言葉を絞り出すように、自分の思いが伝わっているか確かめるように客席を見つめながら話す嘉代子ちゃんは今にも消えてしまいそうで綺麗でした。
かと思えば、
「何言ってるか伝わってるかな・・・?今日もきっと眠れないな。いつも何喋ってるんだろう、何であんなこと言ったんだろうって後悔するんです・・・もちろん楽しくて興奮してるからっていうのもあるんですよ?」
キュートが過ぎます。
キュートが過ぎると言えば、ハマ・オカモト氏とのMCも良かった。
バンドメンバー紹介あたりで
か「ハマくんは前からわたしの曲を聴いてくれていて、しかも買ってくれていたんだよね?」
ハ「当たり前じゃないですか!」
なんて仲良しっぷりを見せつけられてしまいました。
また余談ですがこのハマくんの当たり前発言は、先日Twitterでも発言していたタダ聴きツイートも関連しているのかななんて。
とにかくハマくんも楽しそうだったなぁ。いやバンドメンバーみんなきっと嘉代子ちゃんに惚れてますね。あれは。でもあんな魅力の塊、惚れてしまいますわ・・・
楽しい時間はあっという間で、気がついたらアンコールの『月曜日戦争』『残ってる』の2曲が終わり、嘉代子ちゃんを残してステージ袖に消えて行くメンバー。
嘉代子ちゃんは何度も袖に向かおうとしながらも、立ち止まり手を振っていました。
最後に「ありがとうございました」と深く頭を下げた後に、投げキスをして消えていった魔女。客席に明かりが戻るとくるりが流れ始めました。「ああ、好きなものって繋がってるんだな」とひとり感慨深くなって、また泣きそうになるのでした。
そんなウルトラスーパーミラクルな時間でした。
いや、長々書いたんですけど、本当すごい良いライブでしたってことで。
またワンマンの予定も沢山アナウンスされてますし、何より新バンドの動きが気になり過ぎるのです。
魔法、もうちょっとかかったままでいさせてください。