君の顔が好きだ。

ぼくの話を聞いてくれ

音楽、いりますよね?

 

OKAMOTO'S、7枚目のアルバム『NO MORE MUSIC』が8月2日に発売されました。

 

とりあえずこの後、長ったらしく感想やらなんやらを書き続けるんですが、読まなくてもいいです。とりあえず買ってください。お願いします。このアルバム、今年マストバイな1枚で決まりですから。

  

所謂ディスクレビュー的なものです。

こういうの作り手以外が言うのって全部私見なんで普段はあんまりアテにしないんですが、このアルバムは良すぎて語りたい。

 

 

f:id:okwrboy:20170819170118p:image

 

NO MORE MUSIC/OKAMOTO'S

<収録曲>

01. 90’S TOKYO BOYS
02. BEDROOM
03. BROTHER
04. NEKO
05. Cold Summer
06. NO MORE MUSIC
07. WENDY
08. 時差
09. SAVE ME
10. Star Light

 ◎初回生産限定盤収録…OKAMOTO'S MOVIE⑫「NO MORE MUSIC」RECORDING DOCUMENTARY

 

全10曲からなる今回のアルバム。

タイトルは直訳すれば「もう音楽はいらない

タイトル発表時は「これまた攻めたタイトルだぁ」ってなもんでしたが、アルバム発売に先駆けて発表されたティーザー映像を見て、アルバム発売後全曲を一周。そこで思ったのは「マジで解散とかしないだろう?」でした。とにかく楽曲の良さがハンパない。またメッセージ性が強い。そんなアルバム『NO MORE MUSIC』全曲の感想をなんとなく言葉にできればと思います。

(ここからの文章はメンバーの様々なこれまでの発言や、インタビュー、ドキュメンタリーから得た情報と個人の思いがごちゃ混ぜになります。)

 

 

01.90’S TOKYO BOYS

OKAMOTO'S 『90'S TOKYO BOYS』MUSIC VIDEO - YouTube

90年代に生まれたOKAMOTO'Sの東京って街で生きてきた今までと、今と、これからの歌。アルバムのリード曲。率直に今回の収録曲の中で単純な格好良さはズバ抜けてる。サウンド面はクールでタイト。NEKO発表以降のヒップホップ的なニュアンスも感じつつ、サビはメロウでミドルテンポな聴かせる一曲。"ミラーボールの腐った匂い 大嫌いすぎて好きかもしれない"の名リリックが今の20〜30代の若者世代なんて呼ばれる人たちの気持ちを代弁している気がする。好きなものを単純に好きと言えない閉塞感が漂ってる中で、自分の気持ちにふと気がつかされるような。誰でもどこにいてもすぐに情報を発信、受信できる現代じゃ自分の好きなものを簡単に誰かに否定される。何かを好きな自分を、自分でも知らないうちに隠そうとしている瞬間が僕らの日常には多くなりすぎている気がする。それは誰のせいとも言えないんだけど、なんとなく息苦しい毎日をやり過ごしてる人の歌だと思う。グダグダ言ったけど曲に自分を投影しがちなだけで、そこまで考えずにとりあえず聴いて欲しいんです。なんてったって作曲はオカモト ショウとオカモト コウキ。コウキくんが作曲の根幹にいると、サウンド面に華やかさが強調されるのでとても好きです。このアルバムが最高だって確信できる1曲目。

MVもとにかくカッコいい。バンドメンバーが歌唱、演奏をするベタな映像なんだけども少し気だるそうに肩を揺らすオカモト ショウのセクシーさはロックスターのそれ。バンドのルックスってよく「◯◯の頃が好きだった」なんて言われがちだけど、今回のメンバーのビジュアルは間違いなく過去最高なのでは?

 

02. BEDROOM 

ハードなゴリゴリギターサウンドで始まったかと思うと歌い始めはシリアス。暗い。重い彼氏の歌。なんて言うとコミカルな紹介が過ぎるんだけど、ショウくんの歌唱技術的なとこで話すとこの曲かなり見所がたくさん。低く聴かせるAメロからBメロはファルセット。一曲の中で密度がかなり濃いストーリー性がある。90’S TOKYO BOYSでもそうなんだけど具体的な地名が歌詞の中にあることで、リアルさを増してる。

 

03. BROTHER

今作の中で唯一のシングルカット曲。47 LIVE TOURでなんだこの曲に泣かされたか。OKAMOTO'Sの新たな代表曲になったと思ってます。ショウくんもどこかで言っていましたが「この曲から自分のことを歌うようになった」1曲。"俺を誰よりも わかってくれてるあなたへ"バンドからのラブレターのように感じて、聴く度にOKAMOTO'Sが好きだって気持ちを再確認させられる。

 

04. NEKO

ミニアルバム『BL-EP』から。BL-EPはOKAMOTO'Sとシーンだったり時代と言われたりするようなものがガチッとハマった作品だった。フリースタイル・ダンジョンを皮切りにヒップホップが注目されたタイミングでの発表。でもこれは時代に擦り寄るんじゃなくて「いつでも良かったけど、今なんでしょ?」くらいの肩の力の抜けた雰囲気がある。アルバム発売に向けて公開された呂布とMUDからのコメントからもそれを感じる。

いつでもやれたけど、間違いなく今だった/呂布

これが俺たちの遊び方/MUD

【BL-EP特設サイトより】

  ロックが好きな4人の集まり!ってバンドではなくてOKAMOTO'Sだからこそ出来る表現だと思う。地元をレペゼンした"世田谷を爆走ちんちん電車 環七からすぐの山小校舎 俺の落書きまだあるそうじゃん"のその街の温度感を丸ごと切り取ったようなラインは最高にカッコいい。


05. Cold Summer

オカモト ショウのかなりパーソナルな部分を歌った1曲。相反するものの存在にせめぎ合うような静かな怒りや悲しみを感じる。でも、単純なロックンロールではなくリズムはヒップホップ的な打ち込みも有り。オカモト レイジのセンスが光る。ポエミーなAメロBメロからロックパートに雪崩れ込む構成。するとまた打ち込みのリズムに口笛のメロディ。終盤はレッチリ的な雰囲気も。絶妙なバランス感覚がOKAMOTO'Sらしさを感じる。

  

06. NO MORE MUSIC

OKAMOTO'S 『NO MORE MUSIC』MUSIC VIDEO - YouTube

アルバムの表題曲。この曲を一度歌詞カードを見ながら聴いて、しばらくアルバムが聴けなくなりました。サウンドは明るめ、でも歌詞はかなりセンセーショナル。

"みんな今何を聴いているんだ?"

"みんな俺になんかいい音楽を教えてくれよ"

"みんな音楽に金を払うことをやめちまった"

"誰もいい音楽に祈らなくなっちまった"

(和訳歌詞)

なんでこのバンドは僕が思ってることを代弁してくれるんだろう?「音楽が売れる時代は終わった」「新しい音楽なんてものはもうない」なんて誰が言い始めたのか知らないけど、言われ始めてもうきっとしばらく経つ。言いたいことはわかる。それでもやっぱり僕は音楽が好きだし、音楽に救われてきたと思っちゃってる。音楽に期待してしまうし、いつまでも音楽が生活の中で鳴っていてほしい。前作『OPERA』発売時にハマくんが語っていた「音楽だけを楽しむ時代は終わった」的な発言はより深刻さを増した。音楽を聴く場所はプレーヤーの前から多くの人はYouTubeや配信サービスに移っていった。無料ダウンロードと謳われる違法ダウンロードは後を絶たない。違法ダウンロードは別として、YouTubeや配信サービスは新しい音楽を聴く形なんだと思う。でも音楽を聴くだけの時間の素晴らしさも忘れずにいたい。これは音楽好きの切な叫びです。

Nobody’s listening to my music

(誰も俺の音楽なんて聴いてない)
I’ve got no answering to my phone

(誰も俺の電話に出てくれない)
I know waiting is such a fool

(待つだけなんて馬鹿らしいとわかっているけど)
But what else can I do in this world

(でもこの世界で他に何をすればいいというの?)

OKAMOTO'Sというバンドが世間に対して思ってたことですよね?誰にも自分たちが理解されない悲しみや寂しさや怒りや焦り、またそれ自体がただの驕りだったことに向き合えた今だからこそ生まれた1曲だと思う。 プレーヤーでありながらヘビーリスナーであるOKAMOTO'Sが今言うからこそ説得力がある。「今がその時だった」と思える。NO MORE MUSICは「音楽が好きだ」って気持ちを何度でも思い起こさせてくれる。この曲は間違いなく僕の人生に今後なくてはならない一曲になってしまいました。そんな風に思わせてくれるバンドが、いや物事があるってどれだけ幸せなんだろう。「これがあるから生きていける」って思えるだけで幸せです。人それぞれに大切なものがあるように、僕にとってそれはこの曲であり、このアルバムで、このバンドなんです。 

 

07. WENDY

ここまでメンヘラくんな文章ばかりでしたが、もうWENDYに関しては「待ってた最高!イイぞコウキ!!!!!サイコウキ!!!!!!!!!!」 。

オカモト コウキの独壇場です。OKAMOTO'S楽曲においてコウキが歌ってるものはどれも名曲ってのが僕の中での通説なんですが。今回プロデューサーに堂島孝平を迎えて華やかなメロディの中に少し大人の香りが漂ってたまりません。「ドラマチックな夏の夜を彩る、一晩だけの魔法」(名文)みたいな曲です。

 

08. 時差

ローデス ピアノとピアニカが良い。個人的には丸の内サディスティック的なサウンドをそこで感じました。優しいメロディの中に、生きていると何となく感じる綺麗事だけじゃやっていけない部分をメロウに歌うショウくん。26歳、そりゃ色々あって大人になるよね。

ピアニカソロをなんとかしてライブでもやってほしいですね。

 
09. SAVE ME

ロックアンセム。だと思う。ギターから始まる曲は好物なのでありがたい。「しかしまたシリアス路線だなぁ」と思ってると良い意味で期待を裏切られ、エモーショナルなサウンドに。パッと前が開けるような。僕が演出をつけるとしたら緞帳上げてメンバーのシルエットを映しながら演奏スタートさせて1:08あたりの"Wow〜"で緞帳下ろします。

 

10. Star Light 

 オカモト ショウ、オカモト コウキのツインボーカル。いやぁこの組み合わせも好きなんですよ。アルバムの最後を飾る曲。普通アルバムの最後は「終わり感」を出すことが多い。わかりやすく聴いてる側に「これで終わりだよ!」と伝える華やかだったり明るかったりハッピーエンドな曲。Star Lightにはそんな雰囲気はない。音はハッピーでポップなのに歌詞はずっと寂しくて孤独。アウトロは言葉が遠のきながら、いつの間にかフェードアウトして終わる。アルバムが終わったことに気づくのに少し時間がかかった。アルバムを一貫したやるせなさを感じさせる1曲。

 

 

全曲なんとなく言いたいことは言えました。

でもこれ全部僕の意見なんで。多分聴いた人の数だけこのアルバムも解釈があると思います。できたら何も見ずにアルバムを一周、二周目は歌詞カードを読みながら、三周目は外に出て聴いてください。OKAMOTO'Sの曲は日常の風景の中で突然大化けして襲ってくる時があるのです。

 

そしてここまでは楽曲についてですが、正しいディスクレビューとしては初回特典のDVDについても触れない訳にはいきません。

 

先にも紹介したように今回の製作ドキュメンタリーです。アルバム製作の裏側が見れるって豪華ですよね。OKAMOTO'Sに限らずこの手の特典は大好きなので、必ず初回盤を買うことをお勧めします。

内容についてはネタバレしてもしょうがないのであまり触れませんが、今回の映像を見て僕は改めてOKAMOTO'Sのプロ意識に感動しました。誰よりも音楽に真摯だからこそ妥協できないことや許せないことをしっかりと伝える。「良いものを作りたい」メンバーの一心が伝わります。とにかく見てほしいです。OKAMOTO'Sというバンドの魅力の一部分が限りなく凝縮されてますんで。

 

 

 

長々と語りましたが、音源はもちろん購入してもらって、更にはライブに是非。来てほしい。見てもらいたい。なんだろうどんな立場でもの言ってんだと自分でも思うのだけど、今回のアルバムは広く世の中に知られないといけないと思うんです。OPERAが世に出た時には「いや、これはわかるやつにしかわからねーよ。良いんだ俺にだけ伝われば」ってな具合でしたが、今回はなんだかもっとOKAMOTO'Sというバンドのことや、音楽の良さみたいなものをこのアルバムを通して感じてほしいなんて大それたことを思うのです。

それだけの力がこのアルバムにはあります。

自分のことを本当に理解してくれる人なんていないと、そう思うこの記事を読んだ誰かの救いになるように。

 

なんだかまとまらないんですけど、

音楽、いりますよね?