君の顔が好きだ。

ぼくの話を聞いてくれ

アルコールよりよく冷えたコーラ派な奴のためのバンド、Suchmos

 

 

Suchmos ”YOU'VE GOT THE WORLD TOUR” @ 神奈川 パシフィコ横浜公演両日が終演しまして、初日を見た後にこの文章を書いているわけですが。いや、かっこいいバンドですね本当に。今のバンドのテンションをそのままぶつけてくるというか。生身で青臭く来られるの弱いんですよ。今回もライブレポ的な感想文。よろしくお願いします。

 
SEは『S.G.S』。「オレらやっぱりWe are Suchmosだから・・・!!」ってなるやつ。入場ソングで一気にやられちゃう。既に高かったテンションが一気に振り切れていく会場の空気感。
そんなこんなで1曲目から新曲を披露。「こっちはお遊戯会気分じゃねぇぞ」と言わんばかりのバンドさん。ライブ開始からメンバー6人中5人がサングラス姿って中々の輩感で好き。
2曲目、YONCEさんの「地元の歌です『PINK VIBES』!」でバイブスを注入される僕たち、私たち。
もうこの段階で「やべぇおGIGに来ちまった・・・」ってなってたんですけどその後も『Arlight』『WIPER』と盛り上がりソングが沢山。

 

比較的に「最近の曲だな」と思う選曲で進んでいくライブ。
アルバム発売時に行われるツアーはどのバンドも大抵、新アルバムからの楽曲が披露されていくと思う。そうでない時期のツアーなら、基本的には定番曲で固めたセットリストでいくのがまぁ「いわゆる、ってやつだよね〜」となる。その方が客ウケも良さそうだし(実際そういうもので盛り上がってしまうタイプだし)。
今回のSuchmosのライブで言えばシングル配信は活発な感じで行われていたけど、アルバムの発売があった訳でもなく。そんな時のツアーに新しい曲がどんどん披露されるのは「今のバンドが思っていること」を反映した曲作りが常にされているからなんじゃないかと勝手に想像していた。良い曲が確かに沢山あるんだけど「今はこれしかやりたくない」「バンドがかっこいいと思えることしかやりたくない」的な少年漫画のエゴ丸出し主人公みたいな主張をライブから勝手に感じ取ってしまって。良いよねぇ。

 

『STAY TUNE』『MINT』『YMM』なんてお決まりの大好きソングもありまして。「そうそうこれが欲しかったんだよ!!!!」な欲求も満たされまくるセットリスト。
あと『MINT』に関して言うと「気の抜けたコーラでも飲んで」がいつの間にか「よく冷えたコーラでも飲んで」に歌詞変更して歌われるようになったのはsuchmostyleでコカ・コーラの工場か何かに取材に行く企画の後あたりからな気がするんですが、そこらへんについて知ってるガチ勢ファンの方いたらご一報ください。すんごい気になってます。

 

個人的には「好きだよ・・・好きだよ・・・TOBACCOが好きだよ・・・!!」で始まる『TOBACCO』にやられました。単純にかっこいい。キーボードがメロディを全面的に担って、DJのスクラッチが効果的に決まるってのが好み。
そして忘れちゃいけないのは戸塚泰貴ことTAIKINGのギタープレイな〜〜〜!!
ビジュアルが常に100点なのに、セットされた髪を乱れさせてギターを掻き鳴らすのは反則です。なんだろう田舎の飼い犬みたいな可愛らしい見た目なのにね、ライブ中めっちゃ客席煽るとことかすごく好き・・・!!

 

2日目にはミニアルバムの発売と横浜アリーナでのワンマンライブが発表されたようで。ミニアルバム含め、ライブバンドとしての良さも今後も存分に味わいたい。
なんとなく人との繋がり方やその表現に、多様性が生まれたが故に閉塞感や気恥ずかしさを感じてしまう今の世の中で、信じた仲間と信じる音楽を届けようとするSuchmosに頼り強さを感じる。また見たくなるバンドだよな。
横浜アリーナ、当たると良いなぁ。

 

 

ceroってバンドは人生なんだ。

 

 

4月12日、13日の2日間恵比寿LIQUIDROOMceroというバンドが合奏を発表した。
自主企画『Contemporary Tokyo Cruise』約3年ぶりの開催だったらしい。
2days開催。初日は対バン、2日目はワンマンといういたって健全な催しだった。
タイミング的には発売を控えた「POLY LIFE MULTI SOUL」の事前視聴会的なノリだったのかな。

 

youtu.be

 

初日を見に行ったんですが、1曲目から新曲でスタート。どんどんその流れで披露される新曲群。アルバム発売に向けた勢いそのまま、という感じ。
正直な話、SMAP×SMAP出演まで名前は見たことあっても聴いたことはなかった私にとってceroというバンドはどこか都会的で、ブラックで、という印象が強かった。
前作「Obscure Ride」というアルバムの方向性と、その時の私の趣味がそういったニュアンスに敏感な時期だったというのもあるかもしれない。
しかし今回のアルバムに収録されている(であろう)新曲たちはどこか民族音楽的というか。呪術的なものを感じるというか。これまで私がceroに抱いていた印象とは全く別の種類の曲たちだった。
いや、また新しい表情を見せてくれるのか・・・と聴いていてドキドキしてしまう。

 

調べてみるとceroの活動歴はもう立派に10年選手を超えていた。
10年以上活動していたら、バンド自身も聴き手もある程度そのバンドに求めるものを言葉にしなくとも共通認識として抱いてしまう(ように私は思っている)。その求められる(求める)線をなぞるのはすごく楽だし簡単だと思う。それを単純に悪いとも思わないのだけど。
ただceroという場所は良くも悪くもその状態であり続けることを良しとはしないようで、今回演奏されたアルバム収録曲はどれもこれも「今までのcero」とかけ離れているが故に聴いている客席側にもかなりの緊張感があった。新しい取り組みが許される場所なんだろうな。
そこにはcero本体とは別にサポートメンバーの存在も大きく関わっているんだろうと思う。いつだかの雑誌インタビューでも「今の曲作りはあのメンバーが演奏するってことを念頭に作曲してる」的な発言を誰かがしていたと思う。
バンドの出来る表現の幅を広げているのは確実だろう。良いバンドには良いプレイヤーが集まるらしい。

 

とにかく良いバンドだな、cero
バンドとしての鮮度が良い状態で保たれているのがよくわかりました。

 ceroというバンドへの信頼はもうなかなか揺るぎないものではあるのだけれど、発売されるアルバムへの期待値は高まるばかりだし、早く歌詞も読み込みたい。なるべく多くの時間をこちらもceroと向き合うために確保するので、今年も沢山ライブしてください。

 

点と点が繋がった夜、その日のくるりのこと。


 

今回はくるりの『その線は水平線』についての遅すぎるディスクレビューと
先日終了したライブツアー「線」のライブレポ的なものを書きます。
また長くなりそうな予感。。。

  

 

  •  『その線は水平線』の話

最新シングル『その線は水平線』、正直な話をするとこのシングルについてはノーチェックだった。
10,000枚限定生産という触れ込みで発売決定のアナウンスがされていたと思う。限定生産の言葉に惹かれてはいたけど、『琥珀色の街、上海蟹の朝』(『How Can I Do』は配信リリースだったと思うので今回は上海蟹を‘前作’と呼びます)に心底やられた僕としては「いや、まぁ配信待ちかyoutubeでPVなりが出てから買えばええやん」と、今思えば間違った判断を下していた。

 

 

youtu.be

 

そんな中、PVが公開された。何回も繰り返し再生した。
いや、今回のくるりとんでもない。卑怯じゃないかと一瞬思ってしまった。
だって一言で言ったら「こんなにかっこいい曲を今ブチ込んで来た」から。
前作、上海蟹が音楽シーン(寒い言い方かもだけど)に残した衝撃はとんでもないものだと思っていて。それはもう完璧に時代を先取りつつも牽引するようなタイミングでの発売や、ロックバンドという括りでありつつ、その境界線上にいながらhiphopのテイストを華麗に取り込んだことだったり、サウンドと歌詞のトリップ感を見事なバランス感覚でやってのけてしまったから。単純な言い方をすると「コレがこれからのくるりの新しい方向性だ!!!!」と思い込ませてしまうほどの威力があった。(個人的な浅い考えだけども)


それだけあの『琥珀色の街、上海蟹の朝』というシングルには力があった。
でもその肌感覚を今回のくるりはやすやすと超えて来た。

そうだよ、くるりってこういうことだった。

シンプルなロックバンドとしてのくるり
「ズルいよ、好きになった頃のこと思い出しちゃうじゃん・・・。」
少女漫画の主人公ばりの感想が出てくる。いや、本当に。

 

現在進行形のものが好きなはずだった。いや、今もそうではあるのだけど。
受け手のこちら側が、勝手に限界を決めていた。それをくるりは易々と壊していってくれた。岸田さんによるライナーノーツにあるように『ハイウェイ』や『How To Go』のような曲に似た雰囲気もある。でもこの曲は確かに今のくるりの音楽だと思う。
今まで音楽を続けてきたくるりにしか演奏できないと思う。めちゃくちゃにかっこいいじゃないか。
20周年をしっかりと体感し噛み砕いたバンドだからこその説得力がある。
好きなバンドが今も第一線で新しい曲を作り続けてくれるってことは、かなり奇跡的だと思う。ヒット曲を聴かせるだけの集金ツアーをこのバンドはやらないんだな、と信頼できる。

 

歌詞について触れるレビューサイトだったりがあるけども、あんなものはクソ喰らえと思うタイプなので、そんな野暮なことはしたくない。
ありがちな形容の仕方しかできない自分に嫌気がさすけども、色々な境遇の人に寄り添うことばが沢山散りばめられていると思う。歌詞カードに少し皺が入るくらい読み込んだ。大好きなフレーズがいくつもある。そのことばを大切にしていきたい。

 

 ライブレポを前に長々と話してしまったけど、それほどこの曲は今までのくるりを包み込んで、尚且つ今のくるりだった。

 

 

 

 

  • ライブツアー「線」の話

 ライブが終わって2週間近く経つ。それだけ間が空くと、大概のことはその時伝えたいと思っていた熱量を失ってしまう。人の気持ちは冷めやすいし、文章にしてまで何かを伝えることには実はとてもエネルギーを使う。自分でこんな文章を書くようになって気づいた。でも、あの日のくるりを見た気持ちはまだまだその余韻の中で、ぐつぐつとあったかいままだ。だから書く。

 

 くるりライブツアー「線」が終了したのは先月の終わりだった。
2018年の3月30日、3月31日の2日間。僕はくるりを見てしまった。

 

01. 東京レレレのレ
02. 東京
03. 愛なき世界
04. 飴色の部屋
05. ハイウェイ
06. ワンダーフォーゲル
07. Liberty&Gravity
08. 東京オリンピック
09. スラヴ
10. 春を待つ
11. 忘れないように
12. ハイネケン
13. ばらの花
14. loveless
15. 虹
16. ロックンロール
<アンコール>
17. ブレーメン
18. ニュース
19. 琥珀色の街、上海蟹の朝
20. その線は水平線

 

セットリストはこんな感じ。多分両日とも同じだったと思う。
くるりのワンマンはこの日が初めてだった僕にとってはこれ以上文句の付け所のない内容だった。
既存曲の良さは言うまでもないと思うんだけど、新曲がこれまたすごい。
岸田さん曰く「これまでのくるりの中で一番の激テク」と評されていた『東京オリンピック』。いや本当に激テクだった。あの曲は何系と言ったらいいんだろう。
とは言いつつ、やっぱり『ばらの花』から『ロックンロール』までの流れにやられてしまった。「うおおおおおおおおこれだぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああオレの待ってたくるりだあああああああああああああああ」状態だった。
正直もう本編だけで殺された。社会人(笑)になって一年目、最後の日にくるりは総決算的に感情の大波をバッシャンバッシャンと起こしてくれた。「良かったこと、悪かったこと、嬉しかったこと、悲しかったこと、頑張ったこと、頑張れなかったこと、色々あるんだけど全部含めてオレじゃんね・・・」的なマインドに仕上がった。

しかし間髪入れずにアンコール。今回のライブは豪勢なトリプルギター。厚みのあるギターサウンドがとてつもなくカッコイイんだけど、アンコールに応えて出てきたのはくるり本体の3人。あれだけバンドサウンドで聴かせておいて、最後に3人で出てくる演出はずるい。そして演奏される『ブレーメン』。勝手になんだけども「くるり」というバンドの在り方をこの曲を通して語りかけられているようで泣けた。その後にはサポートメンバーが戻り新曲『ニュース』。この曲、ユニコーンの『私はオジさんになった』的な、今の岸田繁の等身大が感じられる曲だった。今をそのまま伝えることは勇気がいるし、難しいと思う。でも今のくるりはそれをバンドとして発信する強さがあるんだなと感じた。その後にはメンバーのジャムセッションからポエトリータイムを経て『琥珀色の街、上海蟹の朝』へ。岸田繁流フリースタイルからの曲入りは反則技な面白さでずるい。しかしその雰囲気は踏襲しつつもファンファンとがっつりキメる。「路地裏のニャンコ」のタイミングでネコの真似をする2人が愛おしい。そして最後の一曲。「みなさん今日はどうもありがとう!くるりでした!」簡潔な挨拶を残して『その線は水平線』。20年という長い月日の中で、くるりは様々な人の人生に点を残してきたと思う。楽曲自体が、個人のその時々の状況と重なりながらくるりは生活に寄り添うバンドだと勝手に思っている。その点が結びついた夜だった。好きなものを好きでいる理由は漠然としているけれど、それでも僕や彼や彼女にはくるりが必要だ、と思える。綺麗で時々残酷で、訳のわからないこともある人生の中でくるりをこれからも何度だって聴きたくなるだろうし、その時にもきっとしっかりこのバンドが現在進行形で在って欲しい。そう思えるバンドはなかなかいないんじゃないか。そんなキザなことを真剣に思わされたのです。

 

またしてもまとまらない。思いの丈をただぶつけるだけの文章でした。
とにかく、くるりのことが好きです。どれくらい好きかっていうと、くるり好きな女の子を好きになっちゃうくらいです。

 

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吉澤嘉代子、という魔法。

 

 

先日、吉澤嘉代子さんの『ウルトラスーパーミラクルツアー』を観てきました。 

以下、気持ち悪い新規ファンの思い出せる限りのライブレポと「吉澤嘉代子」について語りたくなってしまった一ファンの気持ち悪い熱量のこもった文章をお届けします。

(この後の文章では呼び捨て、愛称呼びにするけど大好きすぎて、のやつです。)

 

 

 

  • 『ウルトラミラクルスーパーツアー』というウルトラミラクルスーパーな時間。

吉澤嘉代子のライブ、前回ツアー『お茶会ツアー2017』が初体験だった。

ギター、キーボードの編成(だったと思う) 。その最終日を終え、あまり日が経たないうちに発表された今回のツアー。ホームページは更新されてしまったのでどんな告知文だったかは記憶だよりですが「バンド編成でやります!」的な文章が添えられていた気がする。

バンド編成大好物。吉澤嘉代子の楽曲にはストリングス、ホーンやら様々な楽器の音色が響く。それが生演奏で聴けるってヤバくないですか?ヤバかったんですよ。

しかしバンドメンバーについては情報公開日には発表されず、後日発表という形が取られていた。

ここで気持ち悪いファンならではの思考が炸裂します。

「バンド編成ってことはベースハマくんじゃね?」

「ドラムは大地くん・・・」

いや、ないない。でもそうだったら最高だよなぁ。そんなことを思っているとしばらくして発表されたバンドメンバー。

 

 

・バンドメンバー

Pf.横山裕章

Ba.ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)

Gt.尾崎博志

Dr.伊藤大地

Tp.湯本淳希

Sax.加藤雄一郎

 

 

ありがとう嘉代子ちゃんんんんんんんんんんんんんんんんん

願いが叶って最高に嬉しかった。ハマくんがサウンドプロデュースした「屋根裏獣」は大好きなアルバムだし、『残ってる』初回盤の特典DVD、バックでドラムを叩く大地くんを見てたので、まさに理想の布陣。しかも管楽器も入るなんて・・・。

要は、もう開催前から最高が約束されたようなツアーだったんです。

当日までずっとワクワクしてました。仕事も定時に上がれるよう一週間前から綿密な計画のもと終わらせて、急いで恵比寿に。前日から決めていたお気に入りのコートを着て。客席は満員で、開演の時刻が近づくにつれてみんながソワソワしていました。

関係無い話ですが、開演時刻を少し過ぎたあたりからSEの切れ間にシーンとなる瞬間が僕はとても好きです。

そんなことを思っていると始まってしまったウルトラスーパーミラクルな時間。セットリストはこんな感じでした。

 

 

01. ストッキング
02. ユキカ
03. 綺麗
04. 手品
05. 怪盗メタモルフォーゼ
06. ユートピア
07. 化粧落とし
08. 地獄タクシー
09. 麻婆
10. えらばれし子供たちの密話
11. シーラカンス通り
12. ぶらんこ乗り
13. movie
14. 一角獣
15. 雪
<アンコール>
16. 月曜日戦争
17. 残ってる

 

 

「今回のツアーは全曲、私が最高に愛している曲を選びました」というMCの通り、一曲一曲を噛みしめるように歌う嘉代子ちゃんがとても綺麗でした。全曲コメントしていくと途方も無い文量になるので数曲をチョイスして感想をつらつら書こうと思います。しかもポエミーな見出しをつけて・・・

 

  • 魔法を思い出した僕たち私たちは、

まずは 1曲目の『ストッキング』。イントロで泣きそうになったのは秘密です。

嘉代子ちゃんの曲はとにかく言葉が良い。いやメロディも最高なんですけど。

 

‘自分の力を 信じきれなくなるとき いびつに歪んだ心は たった一つの魔法を忘れかけていたんだ’

‘もうわかっているよ わたしは特別じゃない 少女のころ窓辺に腰掛け唱えた 信じる魔法を思い出せたら’

 

 

この一言にどれほどの覚悟だったり思いが詰められてるんだろうなと、考えてしまうんですよね。魔法を思い出した彼女の曲はとっても強い思いを届けてくれるなぁ、といつも思うんです。

 

 

  •  日常に隠れた、非日常 

 6曲目『ユートピア』です。この曲はイントロのベースラインがドチャクソかっこいいんです。大好きな曲を大好きなベーシストが演奏しているんです。曲始まりで思わず「あぁ、マジかよ」と呟いてしまいました。

嘉代子ちゃんの曲はガッチリとした物語性があって、その主人公の物語を歌うのが魅力なんですが、この曲は『特別なんかじゃない日常の風景が突如非日常に変わっていってしまう』ような 『非日常は僕らのすぐ近くにある』的なメッセージを勝手に受け取っていて。

 

‘この世のどこか 異世界のあこがれ’

‘生ぬるい風 綺麗でドキドキしちゃう’

 

生ぬるい風が吹いた時、僕らの住む街、過ごす場所はどこかにあるユートピアに繋がってしまうんじゃないかとか考えちゃうんですよ。

 

 

  • 目に見えなくて、でもそこにいる気がして。

 14曲目、『一角獣』。空想の生き物と、今は会えなくなってしまった系の彼氏を思う曲。もしかしたらその男性はそもそも空想上の人物で、存在し得ない気さえしてしまう。茶化しすぎですね。この曲も大好きな曲です。

 

‘どうやって言葉にしたらいいのかわかんないよ 一日中かんがえても’

‘誰かに会いたいのに それが誰だかわかんないよ あなたじゃないのは確かなはずだけど’

 

‘読みかけの本があるうちは守られている気がしていた’

 

 キュンとした。なんでこうも切なくて、ぐっと心を鷲掴みにするようなことを言うんだろう。ひとりの女の子の強い強い物語。

 

 

 

こんな感じでしょうか。いや、もっと言いたいことはあるんですけどまとまらなくて。

 とにかく最高のライブだったんです。そして曲を通して伝わることはもちろん沢山あるんですが、曲間のMCは吉澤嘉代子という一個人としての言葉が聞けて嬉しいのです。

確か本編中最後の『雪』を歌う前だったと思います。そのMCがとても印象的でした。

 

 

「私の歌を必要だと思ってくれたみんなは、とっても大切な人です。でもみんながとっても辛い時、会いに行くことはできないんですよね。みんなの住所も知らないから。私はいつも自分を救うのは自分だけで、誰かが何かをしてあげるのができないのが人かなと思っているんですが、歌を通していつもみんなのそばに、むしろみんなそのものになって、一体化できたらなと思っています」

 

 【※そんなニュアンスのことを言っていた、ということです。間違えているかも。】

 

 

 なんて優しくて、本当のことを言ってくれる人なんだろうと思いました。

一つひとつの言葉を絞り出すように、自分の思いが伝わっているか確かめるように客席を見つめながら話す嘉代子ちゃんは今にも消えてしまいそうで綺麗でした。

かと思えば、

 

「何言ってるか伝わってるかな・・・?今日もきっと眠れないな。いつも何喋ってるんだろう、何であんなこと言ったんだろうって後悔するんです・・・もちろん楽しくて興奮してるからっていうのもあるんですよ?」

 

キュートが過ぎます。

キュートが過ぎると言えば、ハマ・オカモト氏とのMCも良かった。

バンドメンバー紹介あたりで

 

か「ハマくんは前からわたしの曲を聴いてくれていて、しかも買ってくれていたんだよね?」

ハ「当たり前じゃないですか!」

 

なんて仲良しっぷりを見せつけられてしまいました。

また余談ですがこのハマくんの当たり前発言は、先日Twitterでも発言していたタダ聴きツイートも関連しているのかななんて。

 

とにかくハマくんも楽しそうだったなぁ。いやバンドメンバーみんなきっと嘉代子ちゃんに惚れてますね。あれは。でもあんな魅力の塊、惚れてしまいますわ・・・

 

楽しい時間はあっという間で、気がついたらアンコールの『月曜日戦争』『残ってる』の2曲が終わり、嘉代子ちゃんを残してステージ袖に消えて行くメンバー。

嘉代子ちゃんは何度も袖に向かおうとしながらも、立ち止まり手を振っていました。

最後に「ありがとうございました」と深く頭を下げた後に、投げキスをして消えていった魔女。客席に明かりが戻るとくるりが流れ始めました。「ああ、好きなものって繋がってるんだな」とひとり感慨深くなって、また泣きそうになるのでした。

 

そんなウルトラスーパーミラクルな時間でした。

 

 

いや、長々書いたんですけど、本当すごい良いライブでしたってことで。 

またワンマンの予定も沢山アナウンスされてますし、何より新バンドの動きが気になり過ぎるのです。

 

魔法、もうちょっとかかったままでいさせてください。

 

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音楽、いりますよね?

 

OKAMOTO'S、7枚目のアルバム『NO MORE MUSIC』が8月2日に発売されました。

 

とりあえずこの後、長ったらしく感想やらなんやらを書き続けるんですが、読まなくてもいいです。とりあえず買ってください。お願いします。このアルバム、今年マストバイな1枚で決まりですから。

  

所謂ディスクレビュー的なものです。

こういうの作り手以外が言うのって全部私見なんで普段はあんまりアテにしないんですが、このアルバムは良すぎて語りたい。

 

 

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NO MORE MUSIC/OKAMOTO'S

<収録曲>

01. 90’S TOKYO BOYS
02. BEDROOM
03. BROTHER
04. NEKO
05. Cold Summer
06. NO MORE MUSIC
07. WENDY
08. 時差
09. SAVE ME
10. Star Light

 ◎初回生産限定盤収録…OKAMOTO'S MOVIE⑫「NO MORE MUSIC」RECORDING DOCUMENTARY

 

全10曲からなる今回のアルバム。

タイトルは直訳すれば「もう音楽はいらない

タイトル発表時は「これまた攻めたタイトルだぁ」ってなもんでしたが、アルバム発売に先駆けて発表されたティーザー映像を見て、アルバム発売後全曲を一周。そこで思ったのは「マジで解散とかしないだろう?」でした。とにかく楽曲の良さがハンパない。またメッセージ性が強い。そんなアルバム『NO MORE MUSIC』全曲の感想をなんとなく言葉にできればと思います。

(ここからの文章はメンバーの様々なこれまでの発言や、インタビュー、ドキュメンタリーから得た情報と個人の思いがごちゃ混ぜになります。)

 

 

01.90’S TOKYO BOYS

OKAMOTO'S 『90'S TOKYO BOYS』MUSIC VIDEO - YouTube

90年代に生まれたOKAMOTO'Sの東京って街で生きてきた今までと、今と、これからの歌。アルバムのリード曲。率直に今回の収録曲の中で単純な格好良さはズバ抜けてる。サウンド面はクールでタイト。NEKO発表以降のヒップホップ的なニュアンスも感じつつ、サビはメロウでミドルテンポな聴かせる一曲。"ミラーボールの腐った匂い 大嫌いすぎて好きかもしれない"の名リリックが今の20〜30代の若者世代なんて呼ばれる人たちの気持ちを代弁している気がする。好きなものを単純に好きと言えない閉塞感が漂ってる中で、自分の気持ちにふと気がつかされるような。誰でもどこにいてもすぐに情報を発信、受信できる現代じゃ自分の好きなものを簡単に誰かに否定される。何かを好きな自分を、自分でも知らないうちに隠そうとしている瞬間が僕らの日常には多くなりすぎている気がする。それは誰のせいとも言えないんだけど、なんとなく息苦しい毎日をやり過ごしてる人の歌だと思う。グダグダ言ったけど曲に自分を投影しがちなだけで、そこまで考えずにとりあえず聴いて欲しいんです。なんてったって作曲はオカモト ショウとオカモト コウキ。コウキくんが作曲の根幹にいると、サウンド面に華やかさが強調されるのでとても好きです。このアルバムが最高だって確信できる1曲目。

MVもとにかくカッコいい。バンドメンバーが歌唱、演奏をするベタな映像なんだけども少し気だるそうに肩を揺らすオカモト ショウのセクシーさはロックスターのそれ。バンドのルックスってよく「◯◯の頃が好きだった」なんて言われがちだけど、今回のメンバーのビジュアルは間違いなく過去最高なのでは?

 

02. BEDROOM 

ハードなゴリゴリギターサウンドで始まったかと思うと歌い始めはシリアス。暗い。重い彼氏の歌。なんて言うとコミカルな紹介が過ぎるんだけど、ショウくんの歌唱技術的なとこで話すとこの曲かなり見所がたくさん。低く聴かせるAメロからBメロはファルセット。一曲の中で密度がかなり濃いストーリー性がある。90’S TOKYO BOYSでもそうなんだけど具体的な地名が歌詞の中にあることで、リアルさを増してる。

 

03. BROTHER

今作の中で唯一のシングルカット曲。47 LIVE TOURでなんだこの曲に泣かされたか。OKAMOTO'Sの新たな代表曲になったと思ってます。ショウくんもどこかで言っていましたが「この曲から自分のことを歌うようになった」1曲。"俺を誰よりも わかってくれてるあなたへ"バンドからのラブレターのように感じて、聴く度にOKAMOTO'Sが好きだって気持ちを再確認させられる。

 

04. NEKO

ミニアルバム『BL-EP』から。BL-EPはOKAMOTO'Sとシーンだったり時代と言われたりするようなものがガチッとハマった作品だった。フリースタイル・ダンジョンを皮切りにヒップホップが注目されたタイミングでの発表。でもこれは時代に擦り寄るんじゃなくて「いつでも良かったけど、今なんでしょ?」くらいの肩の力の抜けた雰囲気がある。アルバム発売に向けて公開された呂布とMUDからのコメントからもそれを感じる。

いつでもやれたけど、間違いなく今だった/呂布

これが俺たちの遊び方/MUD

【BL-EP特設サイトより】

  ロックが好きな4人の集まり!ってバンドではなくてOKAMOTO'Sだからこそ出来る表現だと思う。地元をレペゼンした"世田谷を爆走ちんちん電車 環七からすぐの山小校舎 俺の落書きまだあるそうじゃん"のその街の温度感を丸ごと切り取ったようなラインは最高にカッコいい。


05. Cold Summer

オカモト ショウのかなりパーソナルな部分を歌った1曲。相反するものの存在にせめぎ合うような静かな怒りや悲しみを感じる。でも、単純なロックンロールではなくリズムはヒップホップ的な打ち込みも有り。オカモト レイジのセンスが光る。ポエミーなAメロBメロからロックパートに雪崩れ込む構成。するとまた打ち込みのリズムに口笛のメロディ。終盤はレッチリ的な雰囲気も。絶妙なバランス感覚がOKAMOTO'Sらしさを感じる。

  

06. NO MORE MUSIC

OKAMOTO'S 『NO MORE MUSIC』MUSIC VIDEO - YouTube

アルバムの表題曲。この曲を一度歌詞カードを見ながら聴いて、しばらくアルバムが聴けなくなりました。サウンドは明るめ、でも歌詞はかなりセンセーショナル。

"みんな今何を聴いているんだ?"

"みんな俺になんかいい音楽を教えてくれよ"

"みんな音楽に金を払うことをやめちまった"

"誰もいい音楽に祈らなくなっちまった"

(和訳歌詞)

なんでこのバンドは僕が思ってることを代弁してくれるんだろう?「音楽が売れる時代は終わった」「新しい音楽なんてものはもうない」なんて誰が言い始めたのか知らないけど、言われ始めてもうきっとしばらく経つ。言いたいことはわかる。それでもやっぱり僕は音楽が好きだし、音楽に救われてきたと思っちゃってる。音楽に期待してしまうし、いつまでも音楽が生活の中で鳴っていてほしい。前作『OPERA』発売時にハマくんが語っていた「音楽だけを楽しむ時代は終わった」的な発言はより深刻さを増した。音楽を聴く場所はプレーヤーの前から多くの人はYouTubeや配信サービスに移っていった。無料ダウンロードと謳われる違法ダウンロードは後を絶たない。違法ダウンロードは別として、YouTubeや配信サービスは新しい音楽を聴く形なんだと思う。でも音楽を聴くだけの時間の素晴らしさも忘れずにいたい。これは音楽好きの切な叫びです。

Nobody’s listening to my music

(誰も俺の音楽なんて聴いてない)
I’ve got no answering to my phone

(誰も俺の電話に出てくれない)
I know waiting is such a fool

(待つだけなんて馬鹿らしいとわかっているけど)
But what else can I do in this world

(でもこの世界で他に何をすればいいというの?)

OKAMOTO'Sというバンドが世間に対して思ってたことですよね?誰にも自分たちが理解されない悲しみや寂しさや怒りや焦り、またそれ自体がただの驕りだったことに向き合えた今だからこそ生まれた1曲だと思う。 プレーヤーでありながらヘビーリスナーであるOKAMOTO'Sが今言うからこそ説得力がある。「今がその時だった」と思える。NO MORE MUSICは「音楽が好きだ」って気持ちを何度でも思い起こさせてくれる。この曲は間違いなく僕の人生に今後なくてはならない一曲になってしまいました。そんな風に思わせてくれるバンドが、いや物事があるってどれだけ幸せなんだろう。「これがあるから生きていける」って思えるだけで幸せです。人それぞれに大切なものがあるように、僕にとってそれはこの曲であり、このアルバムで、このバンドなんです。 

 

07. WENDY

ここまでメンヘラくんな文章ばかりでしたが、もうWENDYに関しては「待ってた最高!イイぞコウキ!!!!!サイコウキ!!!!!!!!!!」 。

オカモト コウキの独壇場です。OKAMOTO'S楽曲においてコウキが歌ってるものはどれも名曲ってのが僕の中での通説なんですが。今回プロデューサーに堂島孝平を迎えて華やかなメロディの中に少し大人の香りが漂ってたまりません。「ドラマチックな夏の夜を彩る、一晩だけの魔法」(名文)みたいな曲です。

 

08. 時差

ローデス ピアノとピアニカが良い。個人的には丸の内サディスティック的なサウンドをそこで感じました。優しいメロディの中に、生きていると何となく感じる綺麗事だけじゃやっていけない部分をメロウに歌うショウくん。26歳、そりゃ色々あって大人になるよね。

ピアニカソロをなんとかしてライブでもやってほしいですね。

 
09. SAVE ME

ロックアンセム。だと思う。ギターから始まる曲は好物なのでありがたい。「しかしまたシリアス路線だなぁ」と思ってると良い意味で期待を裏切られ、エモーショナルなサウンドに。パッと前が開けるような。僕が演出をつけるとしたら緞帳上げてメンバーのシルエットを映しながら演奏スタートさせて1:08あたりの"Wow〜"で緞帳下ろします。

 

10. Star Light 

 オカモト ショウ、オカモト コウキのツインボーカル。いやぁこの組み合わせも好きなんですよ。アルバムの最後を飾る曲。普通アルバムの最後は「終わり感」を出すことが多い。わかりやすく聴いてる側に「これで終わりだよ!」と伝える華やかだったり明るかったりハッピーエンドな曲。Star Lightにはそんな雰囲気はない。音はハッピーでポップなのに歌詞はずっと寂しくて孤独。アウトロは言葉が遠のきながら、いつの間にかフェードアウトして終わる。アルバムが終わったことに気づくのに少し時間がかかった。アルバムを一貫したやるせなさを感じさせる1曲。

 

 

全曲なんとなく言いたいことは言えました。

でもこれ全部僕の意見なんで。多分聴いた人の数だけこのアルバムも解釈があると思います。できたら何も見ずにアルバムを一周、二周目は歌詞カードを読みながら、三周目は外に出て聴いてください。OKAMOTO'Sの曲は日常の風景の中で突然大化けして襲ってくる時があるのです。

 

そしてここまでは楽曲についてですが、正しいディスクレビューとしては初回特典のDVDについても触れない訳にはいきません。

 

先にも紹介したように今回の製作ドキュメンタリーです。アルバム製作の裏側が見れるって豪華ですよね。OKAMOTO'Sに限らずこの手の特典は大好きなので、必ず初回盤を買うことをお勧めします。

内容についてはネタバレしてもしょうがないのであまり触れませんが、今回の映像を見て僕は改めてOKAMOTO'Sのプロ意識に感動しました。誰よりも音楽に真摯だからこそ妥協できないことや許せないことをしっかりと伝える。「良いものを作りたい」メンバーの一心が伝わります。とにかく見てほしいです。OKAMOTO'Sというバンドの魅力の一部分が限りなく凝縮されてますんで。

 

 

 

長々と語りましたが、音源はもちろん購入してもらって、更にはライブに是非。来てほしい。見てもらいたい。なんだろうどんな立場でもの言ってんだと自分でも思うのだけど、今回のアルバムは広く世の中に知られないといけないと思うんです。OPERAが世に出た時には「いや、これはわかるやつにしかわからねーよ。良いんだ俺にだけ伝われば」ってな具合でしたが、今回はなんだかもっとOKAMOTO'Sというバンドのことや、音楽の良さみたいなものをこのアルバムを通して感じてほしいなんて大それたことを思うのです。

それだけの力がこのアルバムにはあります。

自分のことを本当に理解してくれる人なんていないと、そう思うこの記事を読んだ誰かの救いになるように。

 

なんだかまとまらないんですけど、

音楽、いりますよね?

Trafficって信号って意味なの?cero主催イベントの話。

 

 

 

正確には信号は「Traffic sign」とかだった気がします。

 

 

 

先日8月11日(山の日)に行われたcero主催イベントTrafficに行って参りました。

2016年に初開催を迎えてから2回目、ceroが今見たい、自身がファンのアーティストに声掛けてます!と宣言するライブイベント。

出演者を確認しつつタイムテーブルを眺めるとこんな感じ。

 

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岡村ちゃん??????ほんとに来るの????あの岡村靖幸が?????」

発表された時の素直な気持ちです。正直に言うと名前や楽曲を知っていたのは主催のcero岡村靖幸D.A.N.くらい。あとのバンドやミュージシャンに関してはお名前も初めて聞いた人ばかり。ceroというバンドの実力であったり、事務所のコネクションがあれば「もっと有名どころ呼べるんじゃねーの?」「メジャーでやってるアーティスト呼んでくれよ」といった意見を浴びせたくなる人もいるかもしれない。まぁその気持ちもわかる。「どうせお金を払うなら自分の好きなバンドしかいないライブが見たい!!」何度も夢見たシチュエーションだ。

そんな気持ちを察してくれる高城晶平氏のコメントに、このラインナップへの思いが込められていると思う。

 

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 音楽が好き!なメンバーの素直な思いですよね。

個人的に大好きなのは荒内佑氏のイベント開催にあててのコメントです。

(本文の意味が伝わるように全文引用します。ちなみにコピペではなく、引用する際は毎回本文と睨めっこして一字一句間違いないよう打ち直しております)

 

どうも~今日の東京は涼しいですね。昨年同様、特設サイトにコメントを書いてくれや、とのことなんですがお陰さまでソールドアウトしています。なので言いたいことは手短にまとめましょう。

 

・知ってるアーティストの知ってる曲をビール片手に聴くようなフェスも、まぁ悪くないかも知れないですが、知らない音楽と出会う場としてスリリングな経験もできるはずです。巷のフェスとは趣向が違いますが、そんなんならミュージシャンが企画する意味がないでしょう(昨年のコメントをコピペ修正。手抜きではない。主旨が一貫しているのである)。

 

・もしも、もしもですよ、万が一「岡村ちゃんceroに間に合えばいいや、それまで家でダラダラすっぞ~へっへ~」という方がいたら、軽蔑とまではいきませんが、正直、音楽が好きとはいえない。家庭の都合とかあるんでしょうけど、難しいことは言わない。早く来い。特にトップバッターのDTMP(素晴らしい)は無理言って出てもらいますので見逃し厳禁注意報。

 

・昨年の反省。他出演者にアテられてトリである我々ceroの演奏がハッピーピース系になってしまいそうだったので、ガチンコで挑みたい所存。今日ばかりは全く共感できないロックおじさんの「全員ぶっ潰す」精神で行きたい。

 

・さっきからふざけていますが、少しだけ真面目な文章はなんと!私がwebちくまでやってる連載「宇宙のランチ」のチラシがそこら辺りに置いてあるはずで、その裏面にダーっと書いてあります(1500字)。会場限定な上にめちゃ面白い。三次元でゲットしてくれ!

 

熱中症にお気をつけ下さい(涼しいけど)。

 

では、会場でお待ちしております~。

荒内 佑(cero)

 【Traffic特設サイトより】

 

 

 

清々しい。あらぴーの発言に感化されると、音楽好きを自称する私にとって、自分の中ではルールがあります。

 

・『音楽好き』というなら音楽全般に対して興味関心を持つ(ように心がけてみたりする)

・自分の知らないものであっても好きになる可能性があるんだから聴いてみる

 

知らないものとの出会いは割とワクワクするタイプです。自分ルールなので勝手な線引きですが、今回のイベントのようなある種"攻めのラインナップ"に対して「(主催バンド)は好きだけど他のバンドは知らねーから見なくていいや」となる人は「音楽好き」なんじゃなくて「そのバンドが好き」なだけだと思います。

(勿論お金を払ってチケットを買った人がどう楽しもうがそれはその人の勝手です)

 

 

音楽が好きだからこそ普段思うモヤモヤを、大好きなバンドがこうして声に出して、尚且つその発言を裏切らない形でイベントを開催してくれるのをとても心強く思います。

 

 

ちなみにメンバー内から2人を紹介しておいて橋本翼氏を紹介しないのはなんなので、イベント開催発表後くらいの高城さんが宣伝ツイートし始めた頃のはしもっちゃんのツイートを紹介します。

 

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宣伝する気がさらさらないのが大好きポイントですね。はい。特設サイトでのメッセージはとてもステキなので気になる人は見てください。

 

 

このようなメンバーの姿勢が現れたTrafficというイベントは、正に何かと何かが混ざり合う瞬間というか新しいものとの出会いの場だったと思います。

強烈なインパクトを残した人たちの話を少しずつ。

 

  • 藤井洋平の話

個人的な収穫としては藤井洋平という核弾頭の存在を知ってしまったこと。「ママのおっぱいちゅーちゅーすって、パパのすねをかじっていたい」なんてパンチラインを喰らったらそりゃ立ってられないでしょう…踊り出すしかなかった…。

基本的には滑舌がアレで何言ってるかわからないんですが、時折ストレートに響く言葉があって聴き入ってしまいます。エルビス的な、プリンス的なファンクネスを感じるメロディに、日常でふと私たちも思ってしまう、けど世間体や常識みたいなものに囚われて言えない本音を乗せる。最高にファンキーでした。

 

 

先にも上げたレジェンド岡村ちゃん

あの人は本物です。もう一挙手一投足から目が離せない。ベイベ達を今尚魅了するのは昔の栄光をひけらかすだけじゃなく、新しい魅力を発信し続けるからなんだろうなと。踊りも歌も岡村靖幸がするから成立するエンターテイメントです。老若男女を笑顔にして、時に泣かせる。生で聴いた「愛はおしゃれじゃない」は忘れられない。あともう3回は歌って欲しかった。

 

岡村ちゃん「Trafficベイベ まだイケる!?」

 

イケますイケます。女の子のために今日も歌う岡村ちゃんがだいすきです。

 

 

あらぴーよろしく「全員ぶっ潰す」モードのcero。一曲目から「エイッエイッエイッエイッエイッエイッエイッエイッ」と『Summer Soul』でフロアをブチ上げるとそのまま「半端ねぇceroさんぶっ殺しセトリじゃん…」と思わせる『マウンテン・マウンテン』『Yellow Magus』『マイ・ロスト・シティー』に雪崩れ込む。『ロープウェー』のイントロではエフェクトをかけ忘れて「ごめんもっかい!!」と謝る高城さん、それを受けて微笑みながら頷くメンバーにきゅん…とさせられる。ライブ本編では2〜3曲新曲が披露された。その後はアンコール。「今日はありがとう!もう一度出演してくれたみんなにお礼が言いたいです」的な高城さんの挨拶。暖かな拍手で会場が包まれました。「お?なんだ?やっぱり最後はぬくぬくみんなでラブ&ピースで終わるのか?」と思っていると「そんじゃこっからの時間は公開リハーサルで!」なんて処刑宣告。披露された新曲は『ベッテンフォールズ』 (聞き間違えていなければ)。この曲凄い。もうなんかcero別次元に吹っ飛んでったってレベルの衝撃。音源化を早くしてほしい聴き込みたい。今日一日中最高のバンド・アーティストばかりで1つライブを見ると「あーもうこれで帰っていい」の連続だったけど、ceroは全部持っていった。「やっぱceroっしょ!ただいま!!!!!!お前ら最高だよ!!!!!」と見ていたこっちの頭の中をお花畑に仕上げてceroは軽やかにステージから消えていった。

 

 

高城さんは「また来年の山の日に会えたらいいね。やれたらいいなと思います」みたいなMCを最後に残していった。やるでしょ?Traffic。もう予定空けておきます。

 

 

 

ぼくたちの好きなグッドミュージック。結局は星野源が好き。

 

2017年、8月5日の土曜日。忘れられない日になった。その日は土曜出勤日、翌日8月6日に星野源 LIVE TOUR 2017 continues 横浜アリーナ公演2日目を控えた私は浮かれていた。翌日のライブに想いを馳せて、奇跡的に一般発売で取れたチケットに浮かれて撮った写真を見返すことにした。

 

ライブの開催日は 8月5日 土曜 となっている。

 

 

「は????」

 

 

 意味がわからない。

今日はただの出勤日で、ライブを翌日だと思い込んでいた私はご丁寧にチケットをお家で保管していた。チケットが手元にない。見たい気持ちが先走ってもう元も子もない自体になっている。

 仕事をなんとかこなし、自宅に急ぎチケットを確保し横浜へ。新横浜から会場まで「タクシー使うか…?」なんて考えつつ足早に横浜アリーナまで急ぐ。会場を目の前に時刻を確認すると19:34。開場が16:30の開演が18:00の公演。つまり1時間34分の遅刻を既にかましていることになる。ここまでくるとなんだか妙なテンションになって、会場入り口付近に設営されている記念撮影用パネルを写真に収める。これまでに行った星野源のライブの中でもここまで展示物に人がいないのは見たことがなかった。何故なら開演しているから。そう。もう既にお目当ての彼はステージを所狭しと使って歌って演奏していやがるから。

紙チケット入場口からようやくの思いで入場する。本人確認を済ませて会場に入る。スタッフ以外には人がいない。分厚い扉の向こうからはCMに使われたような曲が始まろうとしている。しかし最早「会場に着いた時点で勝ち」といった心境で、場内記念撮影スポットや、衣装展をしっかり見る。物販列もまるでない。スタッフは寧ろ休憩時間といった感じで弁当を食べていた。それもそうだ。もうすぐ20:00、お腹も空くだろう。そそくさと買い物を済ませ、ようやく会場に入る。

 

ライブ自体は3分の1と少し見れたかな?といった感じで終わった。演奏楽曲、演出なりについては音楽情報サイトのライブレポなりを見てほしい。きっと私が見られなかった、聴けなかった曲も最高だったに違いない。私が見聞きした曲については最高だったことを保証したい。星野源星野源として楽しそうにそこにいた。

 

 

ライブのレポートは大して見てないから出来ないが、ずっと思っていることを少し書く。

 

 

  • 踊る』ことについて。

星野源はライブ中によく「踊れ」「自由に踊って」と踊ること、しかもそれを自由に自分なりに行うことを求める。正直に思うのは「随分難しい要求をするなぁ」

ライブMCや様々なインタビューを完全記憶している訳ではないので、ここからは個人の妄想と空想と思い込みだが「踊る」ことに彼が重きを置き始めたのはやはり『SUN』の発売以降な気がする。

 

『Crazy Crazy/桜の森』で、自分の中でサウンドとかやりたい方向は実現できたなって思ってたんですけど、もっと、A面のど真ん中でJ-POPとして鳴るっていうことがやりたいなって、発売後すぐ思って。特に理由なく盛り上がるとか、理由なく楽しいとか、聴いて何かわくわくするとか、腰が動くとか、そういうものにしたいなと思ったんです。

 

すごく端的にいうと、大人になったってことなんですけどね(笑)。単純に楽しいとか、おもしろいとか、気持ちいいとか、そういうことに集中したいなというか。もう否応なく明るい、何の理由もない生命力って何だろうって思った時に、それは太陽だったんですよ

 

わりともう今は、日常系とか言われてもOKみたいな(笑)。やっぱり人の受け取り方って全然違うし、それを統一していくっていうのは無理だし。「これ俺好きなんだよ」ってちゃんとバッて出す、「楽しいんだよ」っていうのをまっすぐ出す。リスナーっていうよりは、自分を信用できるようになったというほうが強いかもしれないです

【RIJ 2015年7月号より】

 

 

それ以前の発表曲に身体が動くものはあれど所謂「踊れる感」のある楽曲はない気がする。休養から復帰し、ある種今までの自分とは違う自分を見つけた星野源が、楽しさの表現の一つとして踊ることを意識し始めたんじゃないか?と妄想する。

その後発表される『YELLOW DANCER』は踊ることを念頭に作られているように思う。聴く人と楽しさを踊ることで共有することを明確に彼が理想として、それを表に出すようになった。しかし日本人は踊るのが下手だ。個性を出すことを極端に抑制される場面を多く経験しすぎた。自分の好きなようにすることが怖くて、それでいて恥ずかしく思ってしまう。そもそも踊り方を私達は知らない。

その筈だったのに、気づいたら『恋』は多くの人を踊らせた。『恋』のヒットと共に『恋ダンス』は多くの人に広まって、統一された振り付けを楽しむ中で日本人は踊り方を思い出し始めているように感じた。星野源は踊り方を忘れた私達にそれを教えてくれた。

恋ダンスを巡ってライブで楽曲が披露される度にネットでは「みんなが同じ振り付けを踊るのは良いことなのか?」 という議論が為されるが、私は大いにアリだと思う。みんなが同じ事をしている気持ち悪さも見ていて気持ち良い。踊ることを求めるアーティストはいても、踊り方を教えてくれるアーティストはそういないんじゃないか。

だから私も、星野源の仕掛けた盛大な計画に巻き込まれたような気持ちになって踊る楽しさを思い出してみたいと思う。

 

 

  •  「見えてる」

今回のライブ、ただ一つだけ残念に思うのは、彼がライブ中のMCでよく言う「一番後ろまで見えてるよ」という言葉が聞けなかったこと。わからないが、多分この日も言ってくれと思う。本当に後ろまで見えていると信じ込む程夢見がちな訳ではない。人間の視力には限界があるし、明るいステージから客席を見ると真っ暗闇に見えるとどこかのバンドマンが言ってた気もする。ただステージの上から客席の端から端までを気にかけているよ、と言葉にして伝えてくれる彼の姿勢に感動するのだ。

 

ファンというのは身勝手なもので、時折好きな相手に対して愛情と憎悪の入り混じったような感情を抱く時がある。『出た番組を見られなかった』『掲載された雑誌を買わなかった』『最近好きになった』誰から非難されるものでも、されるべきものでも無いはずなのに、自分の中でそれが罪悪感のようなものを生み出して『好きな気持ち』を鈍らせたり、曇らせる時がある。感じたことのない人には意味の分からないことだと思う。でも確かに私達はそんな感情を味わう時がある。

彼の言葉は『好きで満たされている人』にも『好きな気持ちに正直になれない人』にも届く。こちらが勝手に作った心の距離を勝手に詰めてくる。でもそれは無茶な力強い言葉じゃなくて「見えてるよ」なんて優しい言葉を選んでくる。ズルい。好きになっちゃうじゃないか。好きになった時の気持ちを思い出しちまうじゃないか。

最近の活躍は凄まじい。音楽も芝居も文章も広く世間に知られるようになったんだと思う。そこに自分との距離感を遠いものに膨らませる人の気持ちもわかる。少しだけいじけてしまう。それを「冷めた」なんて言葉で誤魔化す時もある。そんな気持ちを毎回ぶっ壊してくれる彼の言葉が好きだ。本当に見えていなくてもいい。ただ「見えてる」と言い切る彼を信じているし信じたい。

 

 

 

 

 

長々とした文章で何を伝えたいかと言うと「星野源は最高」「音楽に人生救われちまったと本気で思ってる人の文章は気持ち悪い」ってことです。

結局は星野源が好き。