君の顔が好きだ。

ぼくの話を聞いてくれ

変わる時代と、変わらないでほしいもの。OKAMOTO'Sと全てのBOY達にありったけの感謝と愛を伝えたい。

 

 

勢いでキーボードを叩いてます。この気持ちや感覚を書き残しておきたいって思ったんです。

 


今一つの時代が本当にわかりやすく終わろうとしている。
“平成最後の”なんて表現には品が無いし、しょうもないと思っていたんですけどそんな捻くれた心をぶん殴られました。OKAMOTO'Sに。


4月27日、OKAMOTO'S公式アプリ「オカモトークQ」内でアルバム『BOY』収録楽曲の『Dancing Boy』のMVが一般公開に先駆けてアプリ内での先行という形で公開されました。
この曲、もう既にアルバムが発売された時点で10周年記念イヤーの集大成的な立ち位置を感じて、これから控えているバンドのキャリア初日本武道館公演で聴いたら間違いなく泣く予感しかしてなかったんですが、昨晩の時点でもう泣かされました。

 

MVには有名無名問わないOKAMOTO'Sと所縁のある人物達が登場します。
OKAMOTO'Sの活動を見てきた中で見知った人たちの姿もあれば、「この人は誰なんだ・・・?」となる人も。出てくる人たちは街中に佇みながらこちらを真っ直ぐ見つめていて。真剣な表情の人もいれば笑顔の人もいるし、中には何かを話している人やポーズを決めている人なんかもいる。この姿が本当に学生時代に貰った卒業アルバムみたい。
レイジくんもこのMVをこう表現していた。

 


卒業アルバムに写る仲間は、みんながそれぞれ自由な姿で写っていた。アルバムを開いて見返すと、その当時の自分や友人達の姿に懐かしくなるような、恥ずかしくなるような。それでも写っている人たちは真っ直ぐに自分を見つめ返してくる。
一つの時代を共有して共感してきた仲間達が集まったこのMVは、すごくポジティブに自分の生きてきた「平成」という時代を思い返す機会をくれた。そして何よりも、その時代を綺麗に美しく締めくくってくれた。
「時代」って単語は大きな意味合いの言葉すぎてなんだか実感がわかなかったんだけれど、その大きなものを形作ったのは今を生きている僕らの一瞬一瞬の積み重ねだったんだなって今なら思えます。その思いをこれまたレイジくんが

 

 

こう言い切ってくれたこともとても嬉しい。僕らもOKAMOTO'Sと同じ時代をそれぞれのやり方で駆け抜けてきたもん。精一杯自分のやり方で。
この気持ちをメンバーと共有できたことが本当に幸せです。

 

『BOY』と名付けられたアルバム。『Dreaming Man』から始まり、最後を飾った『Dancing Boy』。これはもう至る所でメンバーも話していると思うけれど、ここで出てくる“BOY”はもちろん性差の話なんかじゃ無い。誰しもが経験しただろう少年少女時代の全能感だったり、孤独感だったり、多幸感だったりを全て引っ括めて“BOY”と言ってるんだと思う。僕らはいつかみんな大人になる。それは間違い無いんだけど、それでも心の中の『BOY』を忘れないでいたいと強く思う。

 

本当にOKAMOTO'Sと出会えて良かったと心の底から思います。
OKAMOTO'Sが届けてくれた音も言葉もその全てが今の自分に蓄積されてると自信を持って言える。同じ時代を生きてきたこと、そしてこれからの時代も共に進んでいけることが僕の誇りです。

 

 

 

音楽の向こう側、星野源が見せてくれる明るい未来の話。【後編】

 

 

というわけで後半戦、ライブ終盤のお話。
ちなみに前半戦はこんな感じでした。

 

okwrboy.hatenablog.com

 

〜一流アーティストからのお祝いコメント〜

ドラえもん』終わり、「センキュー!!」と勢いよく締めると暗転する舞台。個人的に曲終わりの源くんの「センキュー!!」アリス時代の谷村新司さん感があって好きです。
予告通りのステージ移動に伴った休憩タイム・・・とはならないんですよこの人のライブ。もう毎回恒例の悪ふざけですね。無駄に豪華なこのコーナー。そう一流アーティストからお祝いのコメントが来てるんですよ。
登場するのはおなじみバービーボーイズ(椿鬼奴・レーザーラモンRG)、みんな大好きお兄ちゃんの赤えんぴつ(バナナマン)、会場を気持ち悪くさせてくれた井上陽水(神無月)の皆さん。
どの一流アーティストさんも最高なんですが、中でも赤えんぴつa.k.a.バナナマンのお二人、星野さんとの思い出を聞かれると毎回「源くんとはホントバカなことやったよねぇ!」と語り出すのが恒例で良い。今回は源くんの可愛かった瞬間を教えてくれました。

 

11.ばらばら(弾き語り)

一流アーティストの皆さんからのメッセージが終わると客席、ステージに照明が。しかしセカンドステージにはいつまでも源くんが現れる様子はなく・・・。ここでこの男がまたやってくれました。そう、客席で歌うんだよなぁ〜〜〜!!!!!!!!
「どうも〜!」と現れたのはステージ後方のカメラ席風ステージ。「客席の中で歌ってみたかったんです」とスタッフ仕様のアノラックジャケットを着て変装した星野源が話し出す。
披露するのは弾き語りの『ばらばら』。いや、この曲は今回のツアーではこの演出でやるべき曲で、本人にとってはやりたい曲だったんだろうな。

”世界はひとつじゃない ああそのまま ばらばらのまま
世界はひとつになれない ああこのまま どこかにいこう”

 

”あの世界とこの世界 重なり合ったところに 

たったひとつのものが あるんだ”

 

“世界はひとつじゃない ああそのまま 重なりあって

僕らはひとつになれない そのまま どこかにいこう”

 

ひとりだけど、ひとりぼっちじゃない時間がそこにはありました。

 

 

星野源mix(STUTS)〜

『ばらばら』を歌い上げると次こそセカンドステージに行くという源。しかしアリーナ規模の会場となるとステージ間の移動も相当大変なそうで「車で移動するんだよ!」なんて話も。移動中の時間、会場を任されたのはSTUTS!
ツービート公演の緊急事態ではジャムセッションで間を繋いだりしたことがありましたが、今回はなんとこの公演の為だけにSTUTSくんが星野源楽曲をリミックスしてひとつの音源にしたとのこと。
この時間、大体の人が座って休憩タイムしてたんだけど子どもたちがガンガン音に乗って揺れてるのね。「音楽ってこうじゃなくちゃね。いいじゃんね!!」って思いに襲われているとブチ込まれる聴き覚えのあるイントロ。いくつもの夜を使いはたしてきたオレたちのアンセム『夜を使いはたして』が始まるの!!!!

いや、たまんねっす。STUTS feat.PUNPEEで作られた名曲に星野源楽曲のサンプリングMIXにやられてると

“いいこと起きんじゃね 今夜”  が “いいこと起きんじゃね 源さん”
“こんな週末は 宝石のよう” が “こんなWeek Endは 宝石のよう”

なんて本公演のためにPUNPEEが歌い直したトラックが使われる始末。
本当に豪華なコーナーでした・・・!

 


12.KIDS

ようやくやってきたセカンドステージ。STUTSくんの周囲に続々とバンドメンバーが集っての記憶が正しければ『Continues』セッションタイム。最後に登場するのがもちろんオレたちの星野源!!
そっとSTUTSくんの所に寄って、肩を叩いて労うように笑いあっている姿にほっこり。
『KIDS』もかなり音源発表の時から好きだったから生演奏は興奮もので、このライブの中でもかなりジャムセッション感の強い時間に。バンドメンバーそれぞれの遊びが見ていて楽しい。カー様対STUTSくんのパーカッシブな対決や源くんの替え歌なんかもあって楽しい仕上がり。

 


13.プリン

そしてやって来るおふざけタイム。「毎回ここの時間が長すぎる!」と亮ちん、ハマくんからの苦情が入ったり「俺、長く話しすぎたかなぁ・・・」とカー様が不安になってしまうことで伝説となった『プリン』。「次は『プリン』という曲を・・・」と曲紹介すると客席から歓声が上がって「カップリングなのに知ってくれてて嬉しい!!」と興奮する源くんが見られましたよね。
みんながやりたい放題する曲中、カースケさんがタイムキーパーになったり、ハマくんがツアー中の思い出話をしてくれたりと、自由でそれでいてバンドの仲の良さを感じられる時間でした。

 


14.くせのうた

たくさん遊んだ後には真面目なお時間。「バンド形式でやるのは久しぶり」と源くんが話す『くせのうた』。『プリン』からのテンションの変わりように「次、大丈夫かな!?」と心配するバンドをよそに「大丈夫!大丈夫だ!」と自信満々な星野さんがかっこいい。
「25歳の時に作った曲」と話す源くん。今の星野源がひとりで歌い始めた当初の曲をやるっていうことが良い。悲しいような切ないような、でもそれだけじゃない温かさがそこには確かにあったよね。うん。

 

 

〜一流アーティストからのお祝いコメント〜

もう一度お祝いコメントタイムがやって来る会場。「誰が出るんだろうなぁ」と見ていると画面いっぱいに登場するビヨンセ(渡辺直美)。
卑怯。登場だけで全てを掻っ攫っていく直美ちゃんの名人芸と聖太さんのやり取りに思いっきり笑わせてもらうと、次に登場したのは雅マモル(宮野真守)とウソノ晴臣(ハマ・オカモト)さん。アルバム『POP VIRUS』の特典映像にも登場した2人。今ではすっかりバイト先の先輩後輩として仲良くしているそうで・・・
コメント終盤にはウソノさんから「いつか星野くんと共演したいなぁ!」なんて丁寧な前振りもあったりして。

 


15.化物

お祝いコメントのVTRが終わると登場する源くん。衣装は赤パーカーに戻ってました。
この曲も色んな取り方ができると思うんですが、今回のライブで言えばもう一度何かが始まる期待感に包まれる一曲。“地獄の底から”で親指を下に向けるハンドサインをする星野さんがカッケー。そしてこの曲も照明との演出が大好きで、曲終わりの“知らぬ僕をせり上げてく”の「く」と同時に会場の照明が落とされて真っ暗になるんです!!!!

 


16.恋

「皆さん一緒に踊ってくれますか?」と始まる『恋』!
いや、数万人の恋ダンス凄いっす。もちろん本人もイレブンプレイに混じって踊るわけでして。札幌ドーム公演では振り付けを間違えていたような・・・記憶が曖昧。
もうお腹いっぱいだよ、と思いつつも何回聴いても踊ってしまうのはしょうがないね。

 


17.SUN

 問答無用に踊る日本!ジャパン!フジヤマ!スシ!テンプラ!的な一曲。
何回だって僕たちは「君の声を聞かせて」と星野源と思い思われる関係でいたい。今を踊るしかないんだよな〜〜〜!!!!なんてハピネスなマインド全開で聴いていると、エスカレーター的な装置に乗って跪いて“祈り届くなら”と歌い流されていく星野源。ホントそういうとこな????(好き)

 


18.アイデア

最高音楽空間が出来上がった興奮覚めやらない中で「自分がいる日本、東京という場所からどこの場所に持って行っても恥ずかしくないものを作りたかった」と話す星野源
YELLOW MUSICというライフワークを見つけた彼が、その先に見出した新しい音楽。その象徴的な立ち位置にある『アイデア』が歌われる。
ツアー終了直後に行われたというインタビュー番組の中で彼は「『アイデア』というのは複数の問題を一気に解決するものである」という任天堂宮本茂氏の言葉をこの曲への思いを語る時に口にしていた。何もかもを詰め込んだからこそ見える新しい音楽の姿がこの曲にはあると思う。
演出的にはこの曲で銀テープが発射されましたね。確か弾き語りパートからのセグウェイからの最後のサビで銀テープだったかな。そしてモニターに映し出される映像がほんのりエフェクトがかけられていたようで、PVと似た色調で映し出されていたのがオタクとしては興奮しましたね。
札幌アリーナ公演では、いつかやってくれるんじゃないかと期待していた「“にこやかに中指を”で中指を立てる星野源」が見られたのが何より感慨深い瞬間でした。

 


19.Week End

本当に本当に大大大大大大大好きな曲。
今、この瞬間を生きる僕たちの歌。
この曲は当時の、そしてもちろん今の星野源の思いを強く反映している曲だと思う。その上で受手側にも関わらず偉そうな言い方をすると、もう既にこの曲はリスナーのものになっている気がしてる。
『恋』で踊る楽しさの共有を促した彼が、客席に次に求めることは「自由に踊ってください!」ああ、幸せだなぁってな具合に多幸感で涙が出て来るイントロが流れ始める。
僕らは以前に比べていくらか好きに踊れるようになった気がする。踊り方を思い出したり、学んだり、感じたり。星野源の音楽は日本人に踊る楽しさを教えてくれた。これからもこんな音楽が鳴り続けてくれると良いなと思う。誰しもに平等にやって来る週末と終末に僕らには音楽が必要だ。

 

“今を踊る すべての人に捧ぐ
君だけのダンスを 世間のフロアに出て叫べ”

 

僕らは毎日を必死に生きていたり、たまには流すように過ごしてる。でもそのどんな瞬間にでも今を生きている全ての人が、自分のダンスをして良いと言ってもらえた。こんなに嬉しいことはない。でもそれはありのままの自分でいい、なんて言葉じゃなくて世間の目と向かい合ってもその他大勢になるんじゃなくて、自分のしたいことをして良いんだと自己肯定をしてもらえた気がした。
サビ終わりのハミングを客席に促してステージを所狭しと走り回る源くん。幸せな気持ちでいっぱいになった20代男性はボロボロに泣きながら歌いました。

 


20.Family Song

本編ラスト。未来を踊る約束をしたオレ達にやってきた最後の時間。
そんな時も「次で最後の曲なんですぅ〜・・・でもアンコールがあります!!!!」「あと3曲・・・!まだ全然終わんねぇの!」と笑顔の星野源
「もう終わっちゃう泣」的な演出をするんじゃなくて最後まで楽しませてくれる源くんがめっちゃすっきゃねんになる会場。
最後の曲だけど笑顔でいっぱいの客席。歌詞に当てられて、毎日にある風景が急に愛おしくなってしまった。ピンク色の照明の中で舞うピンクの紙吹雪がとても綺麗でした。

 


〜アンコール〜

21.君は薔薇より美しい(星野源・ニセ明・ウソノ晴臣)

星野源の盟友、放送作家の寺ちゃんa.k.a.夢の外へ連れていかれたい男のアナウンスで始まるアンコール。
1曲目はもちろんこの曲。君は薔薇より美しい!!!!軽快なイントロと共に現れるニセさん。今日イチの歓声なのか悲鳴なのかわからない声と共に楽しげに歌い踊っているのをみんなで見守っているとバックバンドに見慣れないロングヘアのベーシストが1人…本編中のお祝いメッセージで「いつか共演したい」と言っていたウソノさんも出演する暴挙。「やべーマジモンのショータイムじゃんかよ!!」と興奮していると舞台袖から現れるのは星野源…!!
いや、ちょっと意味がわからなかった。
ここだけの話ニセさんと星野さんは大人の都合で共演出来なかったはずなんですが…
夢の共演、ニセさんと源くんやんけ!!!!と見惚れていると2人に駆け寄るウソノさん。楽しいが過ぎる人の曲を生バンドで歌う時間。

 

 

22.時よ(星野源・ニセ明)

「すごくダンスが好きなMVがあって…その曲をニセさんダンスめっちゃ上手いから一緒にやりたいんですよね!」と前フリがかかった『時よ』。
ニセさんと2人が向き合って鏡合わせになって手を合わせる振りがめちゃんこ可愛かったです。
“柵を手にして そこに立ち上がり”で毎回震えながらよたよた歩く星野さんが可愛い。
振り付けは全編間違いなく可愛いんですが、1番最後のアウトロにかけて披露される敬礼姿が急に凛々しい源になるのも最高です。

 


23.Hello Song

本当に本当に最後の曲。
東京ドーム公演2日目、静かに口を開いた星野源
「5万人の皆さんがいてくれるという安心感と、嬉しさと、時間と、なんだか愛みたいなものもすごく感じて・・・。すごく幸せな、面白い2日間でした。本当にありがとうございます!!これからも面白い音楽を作ろうと思いますので・・・是非、星野源をよろしくお願いします!!」
ほんの少し目頭を押さえたような、そして深々と客席に向けてお辞儀をして。そんな挨拶を残して始まる『Hello Song』。
アルバム発売時のディスクレビューでも使った言い回しですが、終わりなのに『Hello Song』。そういった遊び心というか洒落が効いたところが好きなんだよなぁ〜〜〜!!
「終わりは始まり」なんてフレーズは聞き飽きたと思っていたけれど。やっぱり本当のことらしい。終わりも始まりも越えて、多くの人に届いていく音楽の力強さは本当に心強い。曲中最後のサビ始まりに綺麗に会場を舞う金テープ。あんまりにも感動的な瞬間すぎて泣く。そして最後のワンフレーズに合わせて「クソみたいなことばかりだけど!また会えるならその時は笑顔で会いましょう!!!!」なんて言われてしまった。
星野源と約束してしまったおれたち。泣かずにいられないでしょ。

 

エンディング

最後のご挨拶はみんなで。セカンドステージにバンドメンバー、イレブンプレイ、ニセさん。全出演者の紹介をしていく。会場に流れるのは『Pop Virus』
「本当に今日はどうもありがとうございました!」と挨拶をしている星野源を置き去りに走り出すバンドメンバー。センターステージに戻っていくと思うと「みんな間に合うか!?」と源くんも走る。
そして生演奏に切り替わって披露される『Pop Virus』はもう客席を含めた大合唱になっていた。会場を隈なく見渡して歌う源くん。あの時、泣いてなかった?

 

 

今回のツアー、僕なんかがどうこう言うまでもなく現在の星野源の立ち位置的に120点な仕上がりだと思います。もちろん各々の求める良さと違うこともあるかも知れませんが、少なくとも彼のいまやりたい事を爆発させたステージだったんじゃないかなと。
そんな姿を見る中でいちファンとしてまたいち音楽好きとして、ひとりの人間の作った音楽を聴くために、数万人が同じ場所に集まるなんて夢があるなと思いました。
音楽が一つのコンテンツとして頭打ちだなんて言われる中で、「そんなことはないんじゃないか!?」と強く思わされます。
楽しいことはまだまだたくさんあるんだろうな。少なくとも僕にとっては、まだ聴いたことの無いような新しいような懐かしいような、そんな音楽を届けてくらるだろうと信頼できる星野源がいる、と再確認したツアーでした。
とにかく「また会えるから!」と源に言い切られてしまったのでそれを信じて色々ある毎日を過ごしていく所存。どんどん大きくなる『星野源』というイメージに反して、あいつ、いつまでも気持ちに寄り添う歌をうたってくるからどうにも今後も嫌いにはなれそうにありません。音楽は生活と一緒に続いていくよ。また僕らも笑顔であの場所で会おうな!!

 

 

ライブ本編丸々の感想文、これにて終了です。めちゃくちゃに長くて読みにくい仕上がりになってしまいましたが、ここまで読んでいただいて感謝っす・・・!

 

  

 

 

音楽の向こう側、星野源が見せてくれる明るい未来の話。

星野源初のドームツアー『POP VIRUS』が先日千秋楽を迎えました。
もうそこそこ時間は経っていますが、いつも通りの長ったらしい感想・考察文です。
本文が確実にこれまでで最長になる気がしているので、前置きはサクッと終わらせまして。


いやいや改めて。『POP VIRUS』ツアー終わりましたね。今回のツアーを改めて振り返ると、大阪、愛知、北海道、東京、福岡の5大ドームツアーだったわけで。星野源初のドームツアーでした。これまでのライブキャパとは比べ物にならない規模で展開された本公演。これはもう本当にただの国民的スターなやり口ですね。
ソロアーティストがドーム即日完売満員で追加席発注なんて本人目線に立つと夢みたいなボーナスステージ突入感があるんじゃなかろうか、と思う仕上がり。
私自身は今回のツアーは札幌ドーム公演、東京ドーム2公演の計3公演に行ったのですが各公演を網羅しつつもなんとなく全体的な感想を残しておきたい。

 

アルバム『POP VIRUS』については改めて言うまでもなく、と思っていましたが前作『YELLOW DANCER』と同時にアナログ盤(しかも重量盤で2枚組!)としてのリリースが決定したり、第33回ゴールドディスク大賞にて『ベスト5アルバム(邦楽)』を受賞したり、第11回CDショップ大賞2019で大賞を受賞。前作『YELLOW DANCER』で第8回の受賞に続いて本賞初の複数回数の大賞受賞者になってしまった・・・!
と、昨年末に発売されたにも関わらず未だに話題が尽きない。それだけ広がり続けているわけで。
このブログ内でも以前長ったらしく話しているのでその記事もよろしければ。。。 

 

okwrboy.hatenablog.com

 

やっぱり前置きが長くなってきましたが、ここで今回のツアーのセットリストを紹介しておきます。札幌・東京以外の公演で曲目が違うかもしれませんがそこはご容赦ください。

 

HOSHINO GEN DOME TOUR 2019『POP VIRUS』セットリスト

1.歌を歌うときは(弾き語り)
2.Pop Virus
3.地獄でなぜ悪い
4.Get a Feel
5.桜の森
6.肌
7.Pair Dancer
8.Present
9.サピエンス
10.ドラえもん
〜一流アーティストからのお祝いコメント〜
11.ばらばら(弾き語り)
星野源mix(STUTS)〜
12.KIDS
13.プリン
14.くせのうた
15.化物
16.恋
17.SUN
18.アイデア
19.Week End
20.Family Song
〜アンコール〜
21.君は薔薇より美しい(星野源・ニセ明・ウソノ晴臣)
22.時よ(星野源・ニセ明)
23.Hello Song

 

本編中のMCで本人も言っていましたが、最新作から過去作までを網羅したセットリストですね。もちろんアルバムツアーなので要所要所は最新作からですが、過去のアルバムやカップリングにもフューチャーしつつ初のドームライブでの記念に残る内容。改めて見直すとかなり豪華ですね。・・・いや『ドラえもん』とか誰かやるって予想してましたか????サプライズ選曲にも程があるでしょう・・・!!とかフライング気味に話したくなってしまうので、ここからはながーい感想文になります!!!!!!!!!

 

 

・開演前
久しぶりのワンマンライブ、キャパシティの問題もあると思いますが客層は前回のツアー『YELLOW VOYAGE』に比べてより老若男女問わない幅広い層が集まっている印象。ドームで座席もあるため親子で来ているキッズの姿も多く見かけました。
そして会場付近では『恋』発売以降多く見かけられるようになったコスプレ屋さんも。Twitterなんかを見ても凄いですね。コミケばりにコスプレが当たり前になった現場感が香ばしいです。合わせとかも開演前に行われている様子。ライブを華やかに彩るダンサー、イレブンプレイの皆さんの衣装や、PVの本人衣装風、ニセさんだったりと幅広いですね。
グッズ販売に関してはどこも長蛇の列だったそうで。最近は著名なデザイナーさんやイラストレーターさんが手掛けることが多く人気ですね(個人的には長場雄さんデザインのグッズがいつか出て欲しい・・・!!)。そして今回初のドームツアー、平日開催の公演への配慮なども含めたのだと思いますが公式通販サイトでの事前販売もありました。年々物販列が長くなり続けていた源くん。並ばずに、尚且つ公演開催日前に届けてくれるサービス。これが本当にありがたい。今後も会場の規模によると思いますが続けて欲しいですね。
なんだかんだであっという間に入場時間。今回のステージはシンプルで、巨大スクリーンをバックに据えたメインステージにそこから伸びるサブステージの花道。メインステージには幕が掛かった状態です。
開演5分ほど前には現在放送中のドコモCMが流れます。星P、アイマスPから本当にPになっちゃいましたね・・・そんなこんなで開演時間です。

 

 

1.歌を歌うときは(弾き語り)
1曲目。浅い考えの持ち主なので「アルバムの1曲目とリンクさせて『Pop Virus』からスタートするんとちゃいますの源クン・・・?」なんて思いで開演を待っていると会場は暗転。花道の真ん中、会場中央に1人現れる星野源。拡がる歓声を受けつつギターを手に歌い出したのは『歌を歌うときは』。1曲目からやられましたね!!!!!!この曲は後々に本人も話していましたが、ピン(伝わる人が気づいてくれれば良い)初アルバム『ばかのうた』発売記念のライブに向けて書き下ろされた楽曲。

 

“好きだと言うときは 笑顔で言うのよ

さよならするときは 目を見て言うのよ

歌を歌うときは 背筋を伸ばすのよ

想いを伝えるには 真面目にやるのよ

真面目にやるのよ”

 

小さなライブハウスで歌い始めてから今や大袈裟な表現ではなくスターになった星野源。会場はもちろん満員で、何万人という規模のお曲さんが「星野源」という1人の存在を待っているわけで。
このシチュエーションや初のドームツアーと思えば、最初からバックバンドを引き連れて大々的にスタートしても誰も文句はないじゃないですか?
それでも彼が選ぶのは「ひとり」の頃の曲なんですよね。源くんの根本にある(あった)孤独感や寂しさは、もうきっと今更変えようもなくて。でもその思いは卑下したりするものではないと理解した彼ならではの強い意思表示のようでした。誰しもの心の中にある「ひとり」という状況や心境。それを素直に、でも優しく受け止めるように歌い上げてくれる。
勝手な深読みが大好きなので想いを巡らせるとこの曲、「アイデア」同様に今と昔を繋ぐ1曲になっているように思えて。正真正銘、今も昔も変わらない歌うことへの心得を今だからこそみんなで分かち合いたかったのかな、なんて思うんです。
背筋を伸ばして会場にいる一人ひとりへ語りかけるように歌う姿は、もういつの姿かわからない「好きになった頃の星野源」となんら変わらないように見えました。

 


2.Pop Virus
真面目にやるのよ、した後はギターをつま弾きながら音の中で君を探し始めます・・・。
ひとりだった源くんがバンドメンバーを引き連れて最初に届けるのは『Pop Virus』
アルバム、ツアータイトルになっているところからも分かるように大切な1曲なんだなと改めて。
源くんのギターサウンドに少しずつバンドメンバーの音が足されていくと「始まっちまうぜ、最高の夜がよ・・・!!」感がすごい。MPCによる電子サウンドに合わせてメインステージの幕が上がると、控えていたバンドメンバーが登場。しかしそちらを特に意識するわけでもなく、源くんは花道からメインステージ方面へ移動し始めます。またこの感じがバンドメンバーとの信頼関係を感じさせられて勝手にグッとくる。登場シーンに合わせて紹介するとバンドメンバーはお馴染みの面々。

 

Gt.長岡亮介、Ba.ハマ・オカモト、Key./Pf.櫻田泰啓、Key./Mrb.石橋英子、MPC.STUTS、Dr.河村“カースケ”智康
そして管、弦セクション。

 

今時打ち込みやシンセで管や弦の音を出すことが多いのに生バンドがそれをしっかりと担当しているところが、単純な音楽体験としても豪華だなと思います。
メインステージにたどり着くと、音に合わせて自由に踊りながら歌い演奏する星野源とバンドメンバー達。楽しそうでこちらのワクワクも最高潮に。
そんな姿を見ていると色々とこみ上げてくるものが・・・。だってギター一本の弾き語りで、ひとり小さな部屋の中で小さな世界の歌をうたっていた男が、ポップスっていう音楽のジャンルを取り込んで数万人を巻き込んだ大きな流れを作っていく姿がそこにはあって。その流れは俗に言う「流行」とか「ブーム」みたいな一過性のものじゃなくて。確実に見た人、聴いた人、一人ひとりの中に確実に蓄積されていく経験だと思う。それが「POP VIRUS」と言う名前の病気であって、現代人が久しく感じていない「共通言語になるコンテンツ」だと思う。こんなに夢中にさせてくれる音楽をリアルタイムで楽しめるのって幸せだと思いませんか?
そんなことを考え始めると改めて「みんなが歌える曲」ってものを作れる存在が、ロックやアイドルソングみたいな枠じゃなくて『ポップス』って表現の中で生まれていることが、これからの日本の音楽の未来を考えたときに凄くポジティブなことだなと思って。音楽はこれからも続いていくんだな、と思えて一音楽好きとしては嬉しくてたまりません。

 


3.地獄でなぜ悪い
そして始まる楽しい地獄。東京ドーム公演で言えば「踊れ東京!」その掛け声とともにイントロが演奏され始めると毎回どの会場でも歓声が湧いてる。言ったら自分も湧いてる。最高に明るくて、本当のことしか歌っていない曲が始まる。
何遍も色々な場所で語っているけれども「踊る」ってことは「生きる」ってことと同義だと思っていて。生きる歓びがこの曲は爆発してる。星野源は何の冗談でもなくて死にかけた経験をしていて、まさしくこの曲はその経験が基になってるって本人も言っていたわけだけど。
生きてるって凄くないですか。大好きな人が目の前で歌っている姿を見ていられるって当たり前なようで当たり前じゃないことだったりして。その事実だけで「俺は今日も生きててよかったな〜〜〜!!!!」って大げさでなくなっちゃう夜があったりして。
そう思うと、この曲で歌われている「地獄」ってものは場所なのか、環境なのか、関係なのか、何が何だかわからないけれど人それぞれが感じるもので、実は日常の延長にあるものだったりするじゃないですか?それを知っている人は案外少ないような気がしてる。それは別に悪いことってわけでももちろん無いんだけど。他人の痛みって本当の意味では理解できないものだから、わかったフリをしてみんな生活してる。
結局僕らの日常は実は基本的に毎日が地獄なんだってこと。多かれ少なかれ、生きているだけでその人にとっての地獄がいつでも降りかかってくる。楽しいことや嬉しいことの方が実はたまにやってくるものだったりするんじゃないかなと。急に地獄に落ちることなんてなくて、実はすぐ横を向くと地獄はそこにあるんだな、って思うようになった。僕らはみんな作り物の世界を信じて生きてる。でもそれで良いんだろうな。毎日の地獄を生きる僕と私と俺と君と貴方への応援歌だと思い込んで泣いた。

 

 
4.Get a Feel
ニコニコ歌う源くんがとにかく可愛い曲。Aメロ、Bメロだったりでベースが出たり、ギターが出たりとちょっとしたソロ的な感覚で舞台上の亮ちん、ハマくんの元へ源くんが歩み寄るところがほっこりポイントだったりしましたね。
この曲はまた自分の好きな物事を完全に肯定してくれているような気がして。何となく個人の時間と社会と繋がって生きる時間の線引きがなくなってきている気がする今の世の中で、自分の物差しで良し悪しを判断するのが難しく思う時もあるけど「あなたが感じたことがあなたにとっての正解なんだよ」って言われているような気がした。「Get a Feel」って「コツを掴む」みたいな意味もあったと思うんですけど、生き方のコツを掴むヒントを僕も見つけたい。
またしても歌っている時の源くんを思い出すと「心揺らせ 16に乗って」の歌詞に合わせてハットを16分で刻む仕草をしているのが凄く可愛かったっすよね。みなさん見えてました?

 


5.桜の森
『Pop Virus』から前曲『Get a Feel』までは記憶が正しければハンドマイクで歌っていた源くん。徐ろにスタンドにマイクをセットすると、ローディーさんがすっとギターを舞台上に持ってくるんですよね。このギター、誰が使うのか?
ハマくん?いやいや彼はベーシストですから。
亮ちん?いや、もうすでに準備万端。
そうなんですよギターを受け取るのはオレたちの星野源!!!!!!!
そして弾き始めるのは『桜の森』の特徴的なイントロ。この曲、最近のライブではイントロのアレンジが毎回されていて最高です。
この曲での個人的な萌え野源ポイントを解説させていただくと、イントロやサビ前までは客席の反応を見ながらノリノリで笑顔を振りまいて歌って弾いてってする癖にサビの入り「僕はそれをただ見てる それをただ見つめてる」と歌いだすと一切微動だにせず無表情で一点を見つめるところ。それをただ見つめて音楽に入ってる星野源、ありがとうございます。

 


6.肌
はい、皆さん。カッコいい星野源の独壇場が続きます。『肌』は『Family Song』のカップリング曲、ビオレCMにも採用されていて知ってる人も多いかも。アルバム『POP VIRUS』特典映像内で演奏されたりもしてました。
特徴的なイントロから始まるこの曲。今回は弦セクションが担当していてカッコいい。個人的にはチェロの男性がセクシーでやられました。全体的にちょっとアダルトな雰囲気。

 

“きつく抱きしめても 二つしかなれないから”

 

で毎回やられる。大概のJ-POPはきつく抱きしめたら一つになるじゃないですか。でも彼の歌はそうならない。二人は一つなんじゃなくて、一人と一人が努めて一緒にいようとするから一つに見えるだけなんだなって。

 

7.Pair Dancer
暗転した舞台、張り詰めた空気の中で始まるこの曲。イントロが流れ始めると現れるイレブンプレイのメンバー。今回のライブ、スクリーンにはもちろん基本的にどんな時にも星野源が映し出されるわけで。多分記憶が正しければ唯一この曲だけが基本的にはダンサーが常に映し出され、ダンスに焦点を当てて披露された。やっぱり星野源にとって「踊る」ってことはとてつもなく重要で大切な表現なんだと感じさせられる。回りくどく話しているけれどこの曲、今回のアルバムの中で個人的ベストソングで生で聴けた時点で嬉でしかなかったんです。
星野源って『恋』で普遍的な恋を描いたじゃないですか。あの曲は間違いなくこれからの2010年代以降を生きていく世代にとってのスタンダードな価値観になると思っていて。その恋を経て歌われるこの曲は紛れもない愛の歌だなって思う。聴き流すと男女間にある恋愛ソングな印象なんですが、注意して確認するとやっぱり「男女」を明確に表現してない。歌詞に男と女は出てこない。この曲で歌われるのは異性でも同性でも、家族でも、動物でも、あらゆる作りものでも、自分にとってのPair Dancerへの愛なんだなって。自分が生きていく上で、離れがたい何かとの繋がりを歌う曲だと思う。


8.Present
息を呑むような美しいダンスでPair Dancerが終わると、コントラバスの特徴的なイントロから始まる『Present』。サビに入ると歌詞が掛け合い風になるこの曲。原曲では本人の声がメインで録音されてるけれど、ライブでは亮ちん、ハマくんをはじめとするバンドメンバーがコーラスに。この2人のコーラス滅茶苦茶に好きなんで最高です。
後半にかけて源くんの歌い方にもどんどん感情がこもっていくのにつれて、掛け合いでコーラスをするバンドにも熱がこもっていくと言うか。どんどんと一つの塊みたいになっていって聴いていると鳥肌が立ったのを覚えてる。

 

“雲を眺め 何処も行けずに”

 

って歌詞のところで源くん、グッと身体を縮ませて身をよじりながら歌うんだけど、そこからの

 

“雲が避けて 陽の光が 辺り照らす 道は無く”

 

で音楽としても開放的な瞬間がやってくると会場全体にパッと光が広がっていくところで毎回泣かされる。この曲は照明演出がすごい好きでした。早く映像化してもらってまた見たい・・・

 


9.サピエンス
星Pの出番。いや、アイマスPの話じゃない。
通信大手ドコモのCMキャラクターを務められているスター、CM曲のお披露目タイムです。
「まだまだたくさん新作撮ってるんですよ、お楽しみに」なんてシリーズが続くことも告知してくれたりしてましたね。そしてMC内では「あと2曲やったらそっち(別ステージへ)行くんで!!」としっかり予告も忘れないできる男。
曲の話をすると「サピエンス」って単語は形容詞で、意味には「現人類の」的な表現が当てはまるような。このアルバム、『POP VIRUS』が表現する「病い」の要素を担う一曲だと思います。それは現代人の罹った病い。

 

“ああ 僕らは いつの日も間違ったまま 世界を変えて走り出す

ふざけた悲しみを味わったまま やめない意味は いつの日も 寂しさだ”

 

“ああ あなたはいつの日も間違ったまま 泥水蹴って走り出す

ふざけた愛しさを抱えたまま 転んだ後に 目が合って 笑うだろ”

 

現代病ですよね。矛盾を抱えたまま生きて行く姿は誰しもが経験する日常の風景だなと思う。やっぱりこう思うと星野源の歌う曲は、切り口を変えても一貫してひとりの歌を歌い続けてくれてる。アウトロはまるで混沌としていて、聴いていてめちゃくちゃで気持ちいい。
音源と同じくライブではコーラスを英子さんが担当していて、源くんがちょくちょく近くに寄って歌う姿がほのぼのしましたね。そして最後の「笑うだろ」はライブアレンジで「笑うだろぉぉぉぉおおおおう⤴︎」(伝われ)って歌われるのが毎回テンションが振り切れるポイントでした。そして何よりライブ演出として触れないといけないのはアウトロ部分。「トゥントゥントゥントゥントゥン(伝われ) (2回目)」でステージ横のエスカレーター的装置に乗って現れるイレブンプレイメンバー。しかもその衣装は星野源作品内で着用されてきた歴代の衣装たち。演出が卑怯だよなぁぁぁぁああああああああ!!!!めっちゃ可愛い。本当にどの衣装も可愛くて圧倒的な感謝タイムでした。そんな登場と同時にジュリアナダンスを披露してくれます。「こんなの見せられたら今後も末長く星野源楽曲と共にイレブンプレイの皆さんを拝ませて頂きたいってなるじゃん・・・」なんてなっているとイレブンプレイのメンバーを見つめおもむろにジュリアナダンスを踊りだす源。「はぁ?可愛い好き・・・」って感情が爆発するアウトロ、最高でした。

 


10.ドラえもん
『サピエンス』でセンターステージから盛り上がりを爆発させたかと思えば、まだまだこの男の快進撃は続くわけで・・・。
「助けて!ドラえもーーーーーん!!!!!!」と全くもって意味のわからない唐突な掛け声と共に始まる少しだけ不思議な普段のお話。この曲、お子の皆さんの盛り上がりが半端無い。今や国民的歌手、なんて紹介もされる星野源。でも国民的と言うからには子どもにも知ってもらわないといけなかったわけです。『SUN』や『恋』『アイデア』も途轍もないパワーでもって子ども達に浸透していったけれど、あくまで大人主導の環境での広まりだった。でもこの曲は子どもの土俵でしっかりと子ども達に受け入れられていた。
子ども達が笑顔で踊っているのってメチャクチャにいい。理屈じゃなくて単純に楽しいものに純粋に反応しているのが見ていて伝わる。自然と子ども達の大合唱になっていくのがこっちまで笑顔になってしまう。
サビはセカンドステージで歌い、そこにはもちろんイレブンプレイのメンバーが。源くんの赤パーカーとイレブンプレイの青い衣装のコントラストが最高◎

 

 

 

ライブはまだまだ前半戦な10曲目なのにちょっと自分で引く文量なので、前後編に分け残りは後編としようと思います。
ここまで長く独りよがりな文章を読んでいただいてありがとうございます。
よろしければ後編にもお付き合いを・・・!

 

 

口から音が出る病気な僕たち私たちは・・・流星ビバップして夢の外へ連れてってほしい

 

 

不思議なもので、こういったものを書く趣味は続けて書き続けると書きたいことがスラスラと出てくるのに一度間が空くとぱったりと触れる機会がなくなってしまって・・・。2018年内に書きたかった趣味全般の話なんかもあったのですが結果久しぶりの更新。

 

今回は好きな音楽がContineuesされた話です。
去年のこと。星野源、ニューアルバムを出しました。
もう多くの人が見知ったこととは思いつつ、今年もやっぱり自己満足していきたい。まずは簡単に紹介から。

 

星野源 5th Album『POP VIRUS』

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  1. 〈収録曲〉
  2. 01.Pop Virus
  3. 02.恋
  4. 03.Get a Feel
  5. 04.肌
  6. 05.Pair Dancer
  7. 06.Present
  8. 07.Dead Leaf
  9. 08.KIDS
  10. 09.Contineues
  11. 10.サピエンス
  12. 11.アイデア
  13. 12.Family Song
  14. 13.Nothing
  15. 14.Hello Song

初回生産限定盤特典
Blu-ray/DVD

星野源 LIVE at ONKKIO HOUS Studio
・創作密着ドキュメンタリー 「ニセ明と、仲間たち」

ブックレット
・『POP VIRUS』ロングインタビュー、エッセイ、全曲解説、撮り下ろし写真等収録

 

うん、内容が濃い・・・。

作品のフィジカル的な話をしていくと、まずは単純に前作『YELLOW DANCER』から約3年ぶりのフルアルバム。パッと見て目を引くのはやはり自身が主演を務め大ヒットした「逃げるは恥だが役に立つ」の主題歌『恋』、ドラマの主題歌、テーマ曲として提供された『Family Song』『アイデア』、CM曲として採用された『肌』『Hello Song』あたりでしょうか。もうここだけで威力が凄い。お腹いっぱいです。その他にもシングルカップリング曲も再録されつつ、もちろん書き下ろしの新曲も。そんな合計14曲のフルアルバム。
もちろんそれだけじゃ終わらないわけで。今回も特典・・・付きます!!
今作の録音にも使用されたというONKKIO HOUSでの撮り下ろしライブ映像、制作秘話や楽曲解説を含んだブックレットといった具合。

 

改めて、内容が濃い・・・。(2回目)
以下は収録曲に触れつつのディスクレビュー的なことをしていこうかなと。
またしてもうろ覚えなインタビューの内容や思い込み、個人の意見感想をぶちまけていくスタイルです。よろしくお願いします。ここから「星野源」の呼称がコロコロ変わると思います。

 

 01.Pop Virus

youtu.be

 

アルバムタイトル曲。もう早速記憶が定かではないのですが、Twitterか何かでアルバムタイトルが発表になった時、僕はライター川勝正幸さんの名前を思い出した。結論から言ったらどうやら本人もラジオで言及したそうだけど、ポップウイルスという表現を使った人が川勝正幸さん。源くんの著書にも紹介があったし、SAKE ROCK、ソロ名義の作品でのライナーノーツや『地平線の相談』担当などで知っている人もいたかもしれない。川勝さんは2012年に不慮の事故で亡くなられている。かかわりの深かった2人、今ポップウイルスという言葉を星野源が使うことに今作への思い入れの強さを勝手に想像してグッとくる。ここからはポップ中毒者を自称していた川勝さん、そして川勝さんが亡くなった際にその存在を「(ポップ)ウイルスになっちゃったんじゃないかと」と表現し自身もポップウイルスに感染しながら、今、多くの感染者を生み出している星野源、2人を思いながら、この曲を通してアルバム全体への思いを語りたい。

このアルバムを通して改めて『ポップス』と『カルチャー』という大きな枠組みについて考えるようになった。本人も目にしていただろうけども、星野源に「サブカル界の王子様」という枕詞がついて回った時期があった(気がする)。「サブカル」ってなんなのか。確かに一昔前には「みんなが知ってる!みんながやってる!みんな大好き!」な共通項になる「(メイン)カルチャー」が生まれていた。それは良くも悪くも1人の人間が取得できる情報が限られていたからこそ。テレビや書籍が圧倒的な情報源だった時代が少し前には確かにあった。この論調も見飽きてはいるけれども、現代はインターネットの普及でありとあらゆることに一瞬でアクセスできる時代になった。時代の雰囲気も「自分だけが知ってるってクールだよね?」にシフトしてきたように感じる。ミニマムな個人の世界の充実とか言うと、かっこつけ過ぎか。
そんな中で(言葉が正しいかわからないが)少数派の好むコンテンツの表現として「カウンターカルチャー」という言葉が生まれた。主流に対するカウンター、この言葉には好きなものへの自信と信頼や誇りが感じられた。そんな中で同義語的にいつしか「サブカルチャー」という言葉を目にするようになった。カウンターカルチャーの仲間であったはずのこの言葉は気がつくと一人歩きを始める。「サブカルチャー」はいつしか「サブカル」になり、そこにはもう誇りもクソもなくある種の侮蔑や嘲笑が込められるようになっていた。「サブカル」はキャッチーであるけれど少し悲しい言葉のように感じる。
僕らはいつの間にか自信を持って自分の好きな物事を伝える経験に乏しくなってしまった。自分の身体を拡張し、世界中の誰とでも何にでも一瞬で繋がれるようになったことで、僕たちの好きという思いは一瞬で誰かの悪意や敵意に晒される。少し息苦しい心地の中で生活をしている気がする。
しかしだからこそ、今この瞬間には「もう一度自分以外の多くの存在と一体化したい」という欲求を持った人が多くいるように思う。いや、そもそもその欲求は人の持つ自然な欲だ。今を生きる僕たちは、みんなで楽しむ感覚を思い出したい。
話が飛躍してしまっているけれど、源くんは閉じた部屋での出来事を歌うことを経て、広く人と繋がる歌をうたうようになったと思っていて。『星野源』は今とてつもなく大きな現象になっている。カイザーの言い方を恐れ多くも借りたら「ただのスター」と言って過言じゃない。そんな人物が多くのヒット曲を生み出し、世間に広くその存在を認知された今、満を持して出すのがこの『POP VIRUS』であり『Pop Virus』なんだと。
ポップカルチャーの持つ感染力をもしかしたらみんな忘れていたのかもしれない。一つのものが性別も年齢も環境も何もかも飛び越えて広がる景色をもう一度彼自身が見たかったんじゃないかな、とも思う。
真面目に話しちゃったんですけど、MVには本人の他に長岡亮介氏、ハマ・オカモト、STUTSが登場して激しくビジュアルが良いのでお見逃しなく。中でも長岡さん、ハマくんのストリート感の似合うこと似合うこと。本人のカラーグラス姿に最初は笑いそうになったのは秘密です。

 

02.恋

説明不要の楽曲。しかし2曲目に収録されているからこそ、このアルバムの目指す位置が感じられる。先述の「みんなで楽しむ」「みんなが知ってる」を成し遂げたこの曲は今思うと「POP VIRUS」を楽しむための土壌になっている気がする。子どもも大人も関係なく共通項となってしまった『恋』は一番ポップでありながら、だからこそ改めてアルバムの中での存在感が際立っている。

 

09.Contineues

リオ五輪パラリンピックタイアップ曲。五輪期間中から反響が大きかった(自分調べ)。『恋』発売時にカップリングとしても収録され、ツアータイトルとしても使用されている。この一曲もかなり星野源の音楽を語る上で大事な一曲だと思っていて。発表時に書籍インタビューやラジオでの発言もあったが、彼の音楽的ルーツでもある細野晴臣氏から共演後「未来をよろしく」と声をかけられた、というエピソードから曲の構想が生まれたという話がされていた。音楽は続いていく。新しいジャンルや発想はもう生まれない、と言われて久しいけれどそんなことはお構いなしに僕らは音楽を聴き続ける。託される側から託す側に、毎日の生活は実はそんな営みの繰り返しであったりする。この曲もアルバムも星野源も、聴いている僕たちもいつかは死ぬ。終わりがやってくるし、古くなる。でもそれで良いと思える。全部続いていくことなんだと思う。僕たちは日々を続けなくちゃいけない。毎日の中で無力感に襲われる時もあるけれど、今はどうしようもないその想いが次の何かを照らすと言い切ってくれるこの曲の心強さに救われる。勝手に星野源の決意表明としてのポジションをこの曲に感じたりしているのです。

 

11.アイデア

NHK連続テレビドラマ小説「半分、青い。」 の主題歌。配信限定リリースという発売形式でも話題になった。発売形式も勿論楽曲の構成自体がアイデアに満ちている。「これまでの自分を詰め込んだ自己紹介的な曲でありながら今後のやりたいことも詰め込んだ名刺のような曲にしたかった」的なコメントを本人がしていたように思う。本当にその通りで、この曲でまた星野源の魅力を思い出させられた。何より発表のタイミングが非常に卑怯だった。今回のアルバムにも収録されているドラマ主題歌『Family Song』、ドラえもん映画とのタイアップ曲『ドラえもん』発売後の個人的な「タイアップバリバリの曲ばっかりですやん・・・」期にいきなりぶち込まれたから。1番はこれまでの自身の楽曲や歌詞へのセルフオマージュ、2番ではMPCによる打ち込み、そこからまさかの弾き語り。できること全部詰め込みましたと言わんばかりの構成に「あぁ、そうじゃんこういう人だから好きになったんじゃん!!!!」ってみんななったよね?生活に根ずくベーシックな音楽でありながら、新しい試みが沢山されている。個人的な話をし続けると、これまでのシングル・アルバムのジャケットで使用されてきたカラーを背景にスタジオを源くんが所狭しと駆け回るMVは最高なのでぜひ。そして何より坊主頭の長岡亮介氏を見て欲しい。 

youtu.be

 

14.Hello Song

ACジャパンCM曲。オリンピック関連の楽曲にこれだけ携わっていると、本当に2020年にも何かオリンピックに一つ噛んでくるんじゃないかと勘繰ってしまうんですがどうでしょうか。メディア発表が既にされていた中では1番フルで聴きたかった。終わりと始まりを越えて、未来に繋がっていく音楽。アルバムの最後でありながら『Hello Song』。そういうところが好きなんだよなぁ〜〜〜!!!!!!!!!!この曲では久しぶりにYouTube公式チャンネルで視聴動画も上がりましたね。定期的にやってほしい企画です。 

youtu.be

 

と、ここまでは楽曲への感想文。
特典のコラム、撮り下ろし写真はぜひ購入時に見て頂いて。特典映像は先述の通りライブ映像と今回ゲストが登場してかなり豪華なニセさんロケ企画が交互に織り交ぜられた構成に。ライブ映像とニセさんが交互に映し出されるとどんなテンションで見ていれば良いのかわからなくなって非常にサイケで最高です。間違いなく今回も初回限定盤がマストバイですね。

 


アルバムが発売されたということで、ツアー『POP VIRUS』も開催されます。

www.hoshinogen.com

既に全公演完売で期待値はマックス通り越してはち切れそうなんですが、初のドーム公演もきっといつも通り楽しい音楽を聴かせてくれるんだろうなと安心感があります。

  

なんだかんだとまた今回も長くなりましたが最後に。このアルバム、ツアーを通して星野源の運ぶ『POP VIRUS』は感染者を増やし続けていくんでしょう。もうこんなフレーズも至る所で見聞きしますが、感染一緒にしてみませんか?
どこの誰かも知らない彼も僕もあなたも、みんな口から音の出る病気にかかって音楽で楽しみましょう。

 

OKAMOTO'Sって新宿のバンド知ってる?

 

OKAMOTO'Sというバンド、ご存知です?
知らない人、皆さんWikiってください。
以前アルバムについては長文記事を書いたりしましたが・・・

 

okwrboy.hatenablog.com


とにかく大好きなこのバンド。
今年に入ってからあまりバンドとしての動きが表沙汰にならず、youtubeにて配信されていたオカモトークという番組も一時配信が停まり(結果的には撮影できるスタジオがなくなってしまったらしい)、「おやおや・・・?」てな具合でしたがそんな中で出演が告知されていた『新宿レッドクロス15th ANNIVERSARY』という企画。
レッドクロス(紅布)って言ったらOKAMOTO'Sのホームなんですね。毎回ライブMCの初っ端「新宿からやってきたOKAMOTO'Sです!」ってのがあるんですが、そんなOKAMOTO'Sが新宿に帰ってきちまった。そりゃ見にいくしかねぇよ!と。
かなり倍率の高いチケット争奪戦を友達が勝ち抜いてくれたお陰で行けることになりました。

 

 

この企画、文字通り紅布の15周年を祝うもの。所縁のあるバンドが登場するってことでOKAMOTO'Sと挫・人間の対バン。まずは挫・人間からスタート。
正直、挫・人間については「名前は見たことあるんすよね。あ、ハイ。」ってテンションだってんですが、ライブを見たらかなりやられてしまった。
当時から親交のあったという両バンド。思い出話も交えつつ進行されていくステージ。パンクロック感ある演奏がされたかと思うと、急なアイドルソング。いや意味わかんねぇな?
大人見の予定がガンガン手を挙げて盛り上がってしまいました。いや間違いなく最高のライブパフォーマンスを見せてもらいました。

 

それでもってOKAMOTO'S。
セットリスト、かなり満足度は高かったです。

 
 
1. BROTHER
2.ROCKY
3.BEDROOM
4.なんかホーリー
5.Border Line
6.Beek
7. Give It Away
8.うまくやれ
9.新曲
10.NO MORE MUSIC
11.90'S TOKYO BOYS
en.NEKO
 
 
昔を懐かしんで「それじゃあ当時の曲を」ではなくて、しっかり今のOKAMOTO'Sを見せつけてくれました。
個人的には『なんかホーリー』『Border Line』でコウキさんがボーカルを取るところが見られて良かったなぁ。オカモト コウキ歌唱楽曲は本当に名曲が多い。しかも結婚発表後初めて目にしたコウキさんだったので、がっつり左手薬指に光る指輪な〜〜〜!!!!
「お前ホントに結婚してるやんけコウキ〜〜〜!」状態。

 
OKAMOTO'SのMCでも当時の思い出トーク。「本当に仲良しだったんだよ」と語る我らのベーマガ公式認定ベースヒーロー、ハマ・オカモト
「◯光ライオット繋がりだもんね」と当時を懐かしむメンバー。
ハマ氏による同じ大学に通っていたという挫・人間下川氏への懺悔話もあったりと大盛り上がりで進んでいく。
現在鋭意製作中、という新アルバムからも一曲が披露された。新しいアルバムへの期待値も上がるし、紅布でそれを発表するって気概にまた勝手に感動したりして。
 
 
アンコールの『NEKO』ではまさかの呂布くんが登場して客席を沸かす。パーティーチューンにブチ上がっているとそこに挫・人間のメンバー3人も登場。ショウくんに振られる形でVo.下川氏が『今夜はブギーバック』リスペクトのフリースタイルをかます。いやもうこの時点で楽しいが過ぎる。何よりもOKAMOTO'Sも挫・人間も楽しそうなのが嬉しかった。
 
 
 
最高と最高で最高な夜にカルピスミルクを飲んで帰った夜、本当に楽しかった。
OKAMOTO'Sはやっぱり大好きだし、また新しいバンドの魅力を知ってしまった。
挫・人間の今後の動きもチェックしつつ、今年もできる限り、好きなバンドにちゃんと会いに行こうと再確認する夜でした。
 

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ceronoyatu

 

 

ceroが『POLY LIFE MULTI SOUL』を5月16日に発売した。ひと月以上が経った中で、ことばにしたいという熱量が冷めやらなかったので、自己満足な記録として書き残しておきたい。
今回、所謂ディスクレビュー的なもの。

 

 

POLY LIFE MULTI SOUL

01. Modern Steps
02. 魚の骨 鳥の羽根
03. ベッテン・フォールズ
04. 薄闇の花
05. 溯行
06. 夜になると鮭は
07. Buzzle Bee Ride
08. Double Exposure
09. レテの子
10. Waters
11. TWNKL
12. Poly Life Multi Soul

 

収録曲は全12曲。最近のライブではすっかりお馴染みになっていた曲たちが音源化された喜びと、全くもって初体験のceroを久しぶりに楽しめることがまずは純粋に嬉しい。
今回のcero、取り上げられ方としては「ceroの見せる新機軸!」といった雰囲気を想定していたが全くもってそんなことはなくて。
かなりブラッシュアップされた「本当はこれがやりたかった」「こういうことに最近興味があるんだ」というバンドの現在の方向性を感じさせてくれる。そんなアルバムになってると思う。
これまでのceroはエキゾチカにブラックなニュアンスの強いバンドというイメージで、バンドにとってこの表現が嬉しいことなのかはわからないが、個人的には理想的なシティ・ポップの体現者だった。限りなくわたしの住む街と、わたしの生活に寄り添うような、そんな音楽を鳴らすバンドだった。
しかし今回のアルバムは、見事に今まで全体を捉えていると思っていたceroというバンドの全く新しい表情を示してきた。

 

タイトルにもあるとおり、ポリリズムが全体のキーワードになっている今回のアルバム。しかし正直「ポリリズム」なんて言われても繰り返すタイプのポリリズムしか知らない。プラスチックみたいなやつ。
ググってみるとポリリズムは楽曲中、または演奏中に異なる複数の拍子が同時進行で用いられている音楽の状態のことである。とある」。naruhodo。
このポリリズム、そしてタイトル『POLY LIFE MULTI SOUL』についてceroメンバー高城晶平は

 

「我々は幾層にも折り重なった生を生き、かつ一人一人が個別の魂を宿している。」それが”Poly Life Multi Soul”の僕なりの解釈です。

 

としている。
「同じ時を生きている僕らは・・・」的な同調を強いるのではなく、あくまで瞬間を共にしているのであって、個人の生はその中で確立され尊重されている。ということなのかなと思った。いや、難しく言いすぎているのだけど。
単純にceroにとっての「自由」「生命」「音楽」「ダンス」の解釈と表現が変わったと言うのか。いや、やっぱり難しいしよりポエミーで抽象的になってしまう。

マイ・ロスト・シティーでは「ダンスを止めるな!」という強い表現でもって踊ることや、生きることへの根源的な肯定を感じていたのだけど、今回のアルバムはより自由で、「音楽で踊ること」と「音楽で(によって)生きること」をより個人的な領域に持ってきてくれた。自分で選んで、好きにしていいんだと思う。本来、そうであった筈なんだけど。その感覚をceroの解釈でもって完成させたのがこのアルバムなんじゃないか。

楽曲内にはダンスを連想させる言葉が数多く登場する。このアルバムを通して「踊ること」と「生きること」は同義であるように思う。踊り続けないといけなかったステージをceroは通過し、今新しい場所に到達しようとしている。
アルバム終盤、10.Watersに「同じ場所にいながら 異層に生きるものたち」という歌詞がある。本当のことだと思う。同じ場所にいるが、異なっている。それがいまの私たちなんだろう。一つのコンテンツが爆発的に人々を熱狂させる時代はもしかしたら終わりに向かっているのかも知れない。個人の世界がこれからはより重要視されるんだろう。そんな中で広く人に訴えることのできる音楽を通して、個人を確立させながら同じ場所で人を熱狂させるceroを頼もしく感じる。

 

この記事を書いている段階でアルバムツアーは終了してしまっているけど、早く映像化して欲しいし、早くも次のステージが見たくてたまらない。今年もceroは通年で。がっつり聴かせてもらいます。

 

いつもながらまとまらない好き放題な文章ですが、みんなで今年もtrafficに行こうよってことです。

 

 

NEOカワイイ、そんな僕たち私たちの時代。

 

先日Mステ出演が発表されたバンド、ご存知でしょうか『CHAI』。
「何が良いんすか?」「コンセプト寒くね?」「てかなんでこいつら?」と思ってる人、いるんじゃないですか?
まぁ気持ちはわかる。誰だって自分が好きなものに囲まれて生きていたい。でもCHAIってバンドはこれからの僕たち、私たちに絶対必要なバンドだと思うの。
だからこの記事を読んで、なおかつ聴いて?

 

  • CHAIってどんなバンドなの?

双子のマナ・カナ、リズム隊のユウキとユナの4人組で結成された『NEO−ニュー・エキサイト・オンナバンド−』 なバンド、それが『CHAI』。2016年、突如として『NEOカワイイ』で世界を包んだ女の子たち。特筆するようなプロモーションも無しにspotify UKチャート TOP50にランクインすると、その勢いのままに2017年にはSxSW出演と、全米8都市ツアーを敢行。「なんだよこのヤバいバンド・・・」と一部の?音楽好きに火が付くとあとは一気に燃え上がって、現在ワンマンライブは完売、イベントにも引っ張りだこの大忙しバンドさん。

 

いや、これだけですごい経歴の持ち主なんですけどね。こういうとこじゃないんですよCHAIの魅力って。また今回も気持ち悪く熱弁していきたい。

  

  • ガールズバンドって分類に中指を立ててほしい。

こんな言い方をこのバンドに対してはしたくないんだけど、世間一般から言うと彼女たちはガールズバンドという分類になる。女性のみで組まれたバンド、まぁ分類分けはわかりやすさという意味では大切だと思うけど、日本の音楽シーンにおける『ガールズバンド』という言葉には酷い偏見が含まれているように思える。
もちろんこれは一部分を取り上げた解釈に過ぎないけども、日本のガールズバンドの評価対象で一番取り上げられるのはビジュアル面だと感じていて。
「カワイイ女の子たちが歌って演奏します!!」を全面に押し出したバンドが多すぎる。それは商業的な理由だったり、バンドと大人たちとでの難しいやり取りの中で生み出された形なのかもしれないけど。アイドルみたいなやり方は別にバンドがやらなくても良いんじゃないかと思ってしまう。

 

そんなカワイイ至上主義な世の中にあって、彼女たちが掲げているのは「NEOカワイイ」。新しいカワイイだから、メンバーは「今のカワイイ」とは少し違った見た目をしている。しかしCHAIというバンドは毎回全力でビジュアル面を押し出してくる。失礼な言い方を承知で表現すると「ブサイクだけど演奏はこんなに上手いよ」じゃなくて「私たちもみんなもとってもカワイイんだよ」と、いつも100%自分たちのカワイイを信じ切っている。そんな姿勢がみんなを魅了したんじゃないか。

 

すごーい飛躍した思いをCHAIに託すと、彼女たちは一気に「女性性への宣戦布告」と「多様性の完全肯定」をしてくれたと思っていて。
世の中に蔓延る古臭い「女性像」は今も生活に深く絡みついて、多様性が叫ばれる今の時代ではそれに悩まされる人は多い。「女性らしさ」って誰が決めたんですか?
『演奏は下手だけど、可愛くて、愛嬌を振りまいているからカワイイ。だからあのガールズバンドは良い』
ひとりの音楽好きとしては、そんな基準でバンドが評価されることがあって欲しくはないけど、そんな場面を目にすることは多い。CHAIはそんな環境にとても美しく、なおかつファニーに反旗を翻した。

 


CHAI『N.E.O.』Official Music Video

 

この『N.E.O.』という楽曲、一回聴いた時には「演奏はかっこいいし、歌詞は面白いし良いなぁ」ってな具合でしたが、MVを見たりライブで聴くとまた違った印象を感じて。とっても心強い、愛に溢れたみんなへのメッセージだなと。
動画が再生されると小汚い字(褒めてる)で「コンプレックスはアートなり。」の文字。
コンプレックスって隠したい部分だったり、自分では恥ずかしいと思うような部分のことじゃないですか。そこを「キミのそんなとこめっちゃカワイイね〜キュートだね〜」と語りかけてくるみたい。

 

ありのままの自分を愛して、的なフレーズは自己啓発ソングの定番で耳にタコが出来るほど聴き飽きた。そもそもありのままの自分て何よ、と抽象的な表現に疑問も湧く(曖昧だからこそその歌詞に救われる時もある)。でもこの「N.E.O.」は具体的すぎる。その具体性がわかりやすく、聴き手をいつの間にか捕らわれていたコンプレックスから解放してくれた。僕たち、私たちはNEOカワイイになることを許され、認められ、選べるようになった。

 

CHAIの一貫して揺るがないそのコンセプトは、性別に捕らわれず本当に全ての人に向けた愛を届けてくれる。自分を愛することで他人を愛せる。自分を許すことって実は他人を許すことよりも難しい時があったりして、毎日私たちを悩ませる。でも悩んで良いんだよね。その先に自分を愛せるようになったらさ!!そうでしょ!?!?!?!

 

  • そのファンキーグルーヴに殺された

これまではバンドの在り方的な部分で話を進めたけれども、決してコンセプト勝負のバンドというわけじゃない。演奏技術もヤバい。上手すぎるの。
グルーヴって言葉の意味はいっぱい読み取り方があると思うんだけど、CHAIのグルーヴ感は、踊りだしたくなる感じ。自然と体が揺れだしちゃうってやつ?
一人ひとりの演奏技術が高くて、遊びと決め所がしっかりしてないとこうはならない。
ファンク、POPS、ブラックもちろんロックも。色んなジャンルの音が巧みに鳴っている。かなり技巧派じゃないですか?だからこそ、アイコンとして人気が出るのではなくて、ライブ会場で生の演奏を聴こうとする人が多いのかなと思うんです。
個人的にはギターのカナちゃん、リズム隊のユウキちゃんとユナちゃんのコーラスがすごい好きで。綺麗にハモってくるんですよ。『ほれちゃった』なんて最高。

 


CHAI『ほれちゃった』Official Music Video

 

こんな感じで確かな技術が下敷きにあるからこそ、バンドとしての魅力がより一層輝いているのかなと。

  

・そろそろ私たちもアップデートしよ?

もう良い加減、よくわからない自意識に悩まされるの疲れてきませんか?
楽しいことだけじゃないけど、悲しいことも、悔しいことも、切ないことも生活の中にはたくさんあるのだけど。それでもこのバンドは私たちの毎日を肯定してくれるなって思う。綺麗事だけをいうものは好きじゃないけど、底抜けに明るいものにはやっぱりパワーをもらえる。
長々と文章を書いたおかげで、なんでこんなにあの女の子たちの事が好きなのかわかった。見た目も中身も、そのままの自分を好きになることを強要するんじゃなくて「好きになれたらいいよね、好きになっていいんだよ」って同じ目線にしゃがみこんで手をとってくれるからだ。また会いたくなっちゃうぞ。

『NEOカワイイ』を合言葉に新しい時代のラヴ&ピース的な流れが来ちゃってほしい。そんなことを割と真剣に思ったりするのです。